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パパの子育て体験記

パパの子育て体験記

理論派・実践派、各界の著名人が、それぞれの「男の子育て参加」実体験を率直に語ってくれました。
自分の好きな道をとことん努力して進んで欲しい。親として援助は惜しまない。

角野 卓造 (俳優)

PROFILE(かどの たくぞう)
1948年東京都生まれ。学習院大学経済学部卒業後、70年文学座研究所入所。74年『花咲くチェリー』で初舞台。75年から座員。84年度芸術選奨文部大臣新人賞、00年度芸術祭賞など受賞。舞台をはじめテレビ、映画、CMなど多数出演。最近は舞台『ワーニャおじさん』、テレビドラマ『渡る世間は鬼ばかり』など。

角野 卓造

 角野家の長男の家系として、どうしても男の子が欲しく、超音波の検査で男の子ということが分かった時には、とても安心したのを覚えています。そして、子どもが三歳くらいまでの間は特に、何ともいとおしく、自然と「こいつのためなら死んでもいい」と思えたほどです。仕事で外出していても、早く家に帰って、早く子どもの顔が見たい、そんな毎日でした。

 テレビでの役柄とは違い、私は実生活では亭主関白で、子どもには口うるさい存在です。これに対して家内(文学座女優・倉野章子さん)は寛容な性格ですが、家内が子どもをしかるときには、反対に私は優しくします。いちいち話し合いをしたことはありませんが、こうした“でこぼこ”が自然とうまくかみ合う、いわゆる「あうん」の呼吸が父親と母親だと思います。

 私は中学のころから鉄道模型やジェット機のプラモデルを作る趣味があり、高校二年くらいでいったんは“卒業”していたのですが、子どもが生まれてデパートのおもちゃ売り場へ行くようになり、見事に“再燃”してしまいました。

 部屋の中にレールを敷いて鉄道模型を走らせ、プラモデルに熱中。建築・インテリアにも興味があり、その関係の雑誌もいつも家にありました。そんな環境が影響したのか、卓哉は高校と同じ系列の大学に進まず、一浪してまでも、あえて自分の好きな工業デザインが学べる大学に進みました。いまはカメラ、自転車、車などに凝っているようですが、これも、デザインと関係があるようです。

 親の仕事を見せておくために、小さいころから舞台げいこはよく見せてきました。その甲斐あって、いまでも芝居を見るのは好きなようですが、「幸いにも」親のように役者になりたいとは言いませんでした。役者として食べていける人はごくわずかであり、また、自分とはちょっと違ったところにいてくれた方が気が楽だから、「幸いにも」です。

 その代わり、舞台の裏側もつぶさに見て回っていたせいか、舞台装置に興味をもったようです。こんなところにもデザイン志向が芽生えていたのかもしれません。親としては、大学受験に失敗し続けたら、「舞台職人としてたたき上げるのもいいか」などと考えていたのですが・・・・・・。

 卓哉には、「自分の好きなことはとことん努力しろ」と言い続けてきました。自分で選んだことをどうして怠けるのか、ということです。早く自立してくれるのに越したことはありませんが、好きなことを続けるためには、親としてできるだけのことはしてやるつもりです。私自身、役者として生きていくために、親のスネをかじり尽くしましたから。好きな役者の道を進ませてくれた親に感謝の言葉もありません。だから卓哉にも、好きで一生懸命やっていることに、より多くのエネルギーを注いでほしい、と願っています。(談)

資料:月刊こども未来

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