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パパの子育て体験記

パパの子育て体験記

理論派・実践派、各界の著名人が、それぞれの「男の子育て参加」実体験を率直に語ってくれました。
父親は威厳ある存在であるべき。人として大切な基本は言葉でなく実践で確実に伝えた。

坂口 征二
(新日本プロレスリング株式会社代表取締役会長)

PROFILE(さかぐち せいじ)
 1942年福岡県生まれ。学生時代から全日本柔道1位に輝くなど柔道で鳴らし、旭化成に入社。後、日本プロレスにスカウトされてプロレス界に入り、73年NET(現テレビ朝日)のワールドプロレスリングの放送に伴い、新日本プロレスに移籍。アントニオ猪木との黄金コンビ結成で北米タッグ王座獲得。「世界の荒鷲」との異名をとり数々の功績を残す。90年、23年間の選手生活にピリオドを打ち、社長に就任。会社経営と後輩の育成に尽力し現在に至る。次男は俳優・坂口憲二。
坂口 征二

 ぼくは五人兄弟の末っ子ですが、両親が商売をしていたので“ばあちゃん子”で育ちました。昔はみんなそうだったと思いますが、親は忙しくて、子どもは兄弟やおじいちゃん、おばあちゃんが面倒を見るというのが当たり前だったような気がします。

 小学生時代は野球、中学時代から柔道を始め、早いうちに上京したこともあって、結婚して子どもができたときには家庭の味といったことを子どもたちには味わわせてやりたいと思う気持ちはありました。

 でも、実際には子どもができたのは自分がいちばん忙しい現役まっただ中。二週間も家に帰ってこないということの多い時期でしたから、子どものことは妻に一手に引き受けてもらって、という状況でしたね。その分、家に帰っているときは一緒にご飯を食べることにはじまり、オフには、サイパン、ハワイ、実家のある九州など、よく旅行もしました。

 最近になって思うのは、何もあーしろ、こーしろと言葉で厳しいしつけをしたことはありませんが、きちんとあいさつをする、目上の人に対する礼儀など、人間としての基本的で大切なことを子どもたちは身に付けてきたと思います。

 言ってしまえば難しくもないようなことですが、意外と、身に付けて、し続けるということの易しくないことが、知らず知らず子どもたちには伝わっていたと思うのです。

 それは、一つには妻の力だと思います。やはり、父親というのは家の中で威厳のある存在でなければならないわけで、そのへんを妻は子どもたちに十分伝え、子どもたちにとっては父親はある意味怖い存在だったと思います。普段は、母親に言っても買ってもらえないヘッドホンステレオを買ってやったり、お小遣いを内緒でやったりと、いつも一緒にいられない分どちらかというと甘い父親だったかもしれませんが、いざというときには抑制力を持った存在ですね。

 そしてもう一つは、短い時間ではあったかもしれませんが、一緒にいられるときにはかなり密着度の高いスキンシップを図っていたような気がします。時間があると家の近くだったこともあって、子どもたちを道場へ連れて行ったりもしていました。

 子どもたちは道場で練習を見ることも、また、そこで共に体を動かすことも楽しんでいましたし、そういった何気ない日常の中で子どもたちにきちんとあいさつをすること、時間を守ること、といった人間関係を築く上で忘れてはならないことが伝わっていったのかもしれないと思います。

 長男も次男も「プロレスラーになりたい」と言っていたことがあります。強くてかっこいい親父を誇りに思うという気持ちを聞くこともでき、親父冥利に尽きます。(談)

資料:月刊こども未来

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