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パパの子育て体験記

パパの子育て体験記

理論派・実践派、各界の著名人が、それぞれの「男の子育て参加」実体験を率直に語ってくれました。
子どもの自由な意思を尊重してきた。親は子の人格を認め子は親を尊敬する、それが大事

新藤 兼人 (映画監督)

PROFILE(しんどう かねと)
 広島県出身。1936年新興キネマ美術部に入り、溝口健二に師事。39年シナリオライターに転ずる。50年近代映画協会創立。51年『愛妻物語』で監督に。60年『裸の島』でモスクワ国際映画祭グランプリほか多数受賞、96年『午後の遺言状』で日本アカデミー賞、98年『生きたい』でモスクワ国際映画祭グランプリ受賞。(株)近代映画協会会長・日本シナリオ作家協会理事。

新藤 兼人

 私は、シナリオを書くときは宿に泊まり込んで書いていましたし、映画監督という仕事柄、家を空けることも多く、しょっちゅう家を留守にしていたんです。ですから子育てのほとんどは妻に任せっきりで、家庭の責任者としては無言の教え、というか、自然体でいました。干渉もしないし、細かいことを言う資格もない、といったところです。

 ただ、子どもは自然に育つのがいいし、自由な子どもの意思を尊重することが大切なわけです。親はアドバイスはしますが、干渉したり、誘導したりはしない。好きなことを好きなようにやってもらう。学校選びも、子どもの自由に選ばせましたね。息子たちも同じように映画の道に進んでいますが、側面からヘルプするだけ。本人が決めて、親は後で納得する、といったことでやってきたわけです。

 孫たちも同じように育ってきていて、進路も子どもたちのときと同じように自由に選んでいます。ちなみに長男の方の孫はプロレスが好きで、その関係の事務所で働いていますし、もう一人の孫は、こちらで何を言ったわけでもないけれども映画監督になりたいと言って、高校卒業と同時に映画の学校に行き、いまは映画監督になって、3年前にはベルリン映画祭で監督新人賞を受賞しました。

 好きなことをやるのがいい、それを親はサポートしてやればいいと思うわけです。

 映画を作るときには、20〜30人が合宿生活をしますが、ただ寄り集まっているだけでは烏合の衆になってしまう。大勢の人が一体化して、家族のような精神的なつながりをもつことによって初めて監督は力を発揮できる、つまり、家族的なつながりが必要なわけです。

 家族的なつながりは、家族のつながりが模範になるわけで、家族の成員一人ひとり、それは子どもでも孫でも同じですが、それぞれの人格を認めることで成立する一体感のようなものでしょう。これがないと、好きなことを子どもに自由にやらせるという発想が出てきません。

 例えば、親は子どもを養育しているからといって、親の権力を振りかざして言うことを聞かせようとしてはいけない。子どもは生まれた時から人間としての人格を持っているわけだから、親はそれを認める必要があるし、子どもの方は、親を尊敬しなければいけない。いずれ離れるにしろ、一緒にいるにしろ、どういう選択をするかは自由意志だけれども、必ず親がいて子どもがいる、というつながりは消せないわけです。

 母親から子どもは生まれ、そしてまたその子どもが生まれるというのは、どこまでも続く非常に神秘的なことでもあり、また、親子という深いつながりをつくってもいる。動物の世界でも、子どもがひとり立ちできるまで十分世話をする。どうしてあんなに、と思うほど愛情深いけれども、人間も同じ。そのことは決して古いことではなく、もう一度、そういう自然の情愛の源である親子の在り方を考えることが必要な時代になっていますね。(談)

資料:月刊こども未来

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