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パパの子育て体験記

パパの子育て体験記

理論派・実践派、各界の著名人が、それぞれの「男の子育て参加」実体験を率直に語ってくれました。
親子の対話を通して、自己管理の大切さを伝えてやりたい

岸田 敏志 (歌手、俳優)

PROFILE(きしだ・さとし)
1953年岡山県生まれ。京都教育大学体育学科在学中にレコード会社のディレクターの目に留まり、76年『蒼い旅』で歌手デビュー。『きみの朝』『重いつばさ』などのヒット曲がある。『1年B組新八先生』の新八先生役でテレビドラマにも出演、作曲活動、DJ、『屋根の上のバイオリン弾き』『ミスサイゴン』などのミュージカルにも出演するなど幅広い活動を行っている。

岸田敏志

 不規則なぼくの仕事柄、生活を子どもに合わせてやれないことで子どもたちに対しては絶えず負い目のようなものを感じていましたが、その中で精一杯やることが男親の責任とも思っていました。

 いまでは笑い話ですが、『屋根の上のバイオリン弾き』の初日前日から家族全員がインフルエンザにかかり、すごい熱を出して倒れてしまったことがあります。ぼく自身も熱と咳とにやられていましたが、舞台に穴をあけるわけにはいかず、家族をほっておくこともできなかったので、舞台に入る前に家族全員を病院に連れて行き、そこから舞台へ。ぼくは幕間に点滴をしてもらって、何とかしのいだといったこともありました。

 こんな具合ですから、やれるだけのことをやりつつも、本当に子どもたちが父親にいてほしいと思っているときにいてやれたかどうか、と考えてしまうときがあります。ただ、ぼくがこういった不規則な生活の中で自己管理しているのを見て、子どもたちも、自分自身をコントロールしていくことの大切さを身に付けてくれたらいいなとも思っていました。

 自己管理ということで言えば、その下地づくりを家族でやってきたと言えるかもしれません。子どもたちが小学生のころ、テレビゲームに夢中で四六時中やっていることがありました。これはいけない、と週に一回だけというわが家のルールを決めました。すると、その日にはエンドレスでやり続けている。そこで、子どもたちとも話し合って、週に一回二時間だけと変えてきました。

 こうした話し合いの中で大事にしてきたのが、自分のやったことが周りにどんな影響を与え、自分にはどんな結果を招くかといったことです。子どもが友だちと石を投げて、近所のお店の窓ガラスを割ったことがあります。結局、親同士で弁償しましたが、このときも、子どもがやったことがどういう結果を生み、今後、どうすればいいのかといった話し合いを子どもとしたのを覚えています。

 このように何か問題があれば、それをきっかけにして、どう発展させていけるかといったことを大事にしてきました。

 二人が大人になったいまでも、自分たちの時間に侵入してくる携帯電話のことについてなど、ときには「ぼくはこう思うよ」と意見を言うこともありますが、親として見守っているというところです。

 現在子育て中の方に、一つだけ反省点をお伝えするとすれば、先回りして言い過ぎたかなと思う点です。下の子が小学五年生の時、学芸会で劇の主役をやることになり、せりふもすっかり覚え、自信満々に「見せてあげる」と家でやってくれました。ぼくはつい役者魂も手伝って「そこはこういう気持ちを込めて」「あそこはこう」と言い過ぎて、「もう家ではやらない」と怒らせてしまいました。舞台は上出来! でもあの時、もっと、できている部分に目を留めてほめてやればよかったなと、いまにして思っています。子どもはほめられて育つことも多いですからね。

資料:月刊こども未来

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