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パパの子育て体験記

パパの子育て体験記

理論派・実践派、各界の著名人が、それぞれの「男の子育て参加」実体験を率直に語ってくれました。
仕事と子ども、どっちが大事?もちろん子ども!です。

堀内 正美
(俳優、「がんばろう神戸」代表)

PROFILE(ほりうち まさみ)
昭和25年、東京都生まれ。桐明学園大学在学中にテレビドラマでデビュー。「異色の役柄をさまざまに演じきる」俳優として、舞台、映画、CMでも活躍。59年、神戸市に転居。阪神淡路大震災の2日後に、地元ラジオ局へ駆けつけ、安否情報や災害の様子を徹夜で放送。番組を通じて集まった市民とボランティアネットワーク「がんばろう神戸」 を結成。以後、ボランティア活動にも力を入れている。

堀内 正美

「神戸に引っ越します」。所属しているプロダクションのマネージャーに言うと、「仕事が減るよ、それでもいいの?」。仕事と子どものどっちを優先するのか?答えは簡単、もちろん子ども!!

 長男がアトピー体質だとわかり、さまざまな治療を試みましたが、いっこうに改善せず、この世の不幸を一手に引き受けてしまったような、そんな気分になっていたとき、かかりつけのドクターが「潮風がいいんだけど、東京では無理だし・・・・・・」と、つぶやいたのです。

 潮風=海。どこがいいのだろう?茅ケ崎、鎌倉、伊豆下田・・・・・・そうだ、いっそのこと神戸はどうだろう!? 海はもちろん、山もある。もちろん妻も大賛成でした。

「子どもを優先させる」という考え方を僕がもつようになったのには、大きなわけがありました。僕の父は教育映画の監督で、「家族の絆の大切さ」「差別のない社会のすばらしさ」をテーマに数多くの作品を創っていました。作品はとてもすばらしく、学校でもよく上映されていましたから、ちょっと自慢の父でもありました。

 でも、一つだけ物足りないところがあったのです・・・・・・。
「おとうさんは?」「お仕事よ」
「おとうさんは?」「疲れてるから寝てるのよ」

 僕のなかでの「理想の家族」って、白黒のテレビのなかにありました。『パパは何でも知っている』というアメリカのホームドラマ。大きな家に広い庭、玄関を入ると大きなソファー、そこには大きな犬。夕食は家族そろって、そこにはもちろん大好きなパパ。

 気がつけば・・・・・・小さなお家に狭い庭、小さなソファーに小さな犬。テレビと違ってみんな小さかったけど、あの憧れていた「家族」が目の前にありました。

 でも・・・・・・食卓に父はいませんでした。子どもの頃の「父の不在感」も、神戸行きを決意させる大きな要因だったかもしれません。

 住み慣れた東京から神戸へ。不安もあるけどなんとかなるさ。「思い立ったが吉日家族」。四トントラックでいざ神戸へ! 神戸に移ってからの生活は、予想以上に快適でした。「ちょっと海に行こう」「ザリガニとりに行こう」「畑をつくろうよ」。あらゆることが新鮮で、興奮の連続。いちばん興奮していたのは、僕だったのかもしれません。近所の子どもたちも、「おじちゃん遊ぼう」とチャイムを鳴らす。近所の公園では、もちろん僕がガキ大将!! 野球にサッカー、鬼ごっこ、絶対負けないとうさんパワー!! 「おとうさん、そんなにムキになるなよ、相手は子どもだぜ」。

 泥んこまみれで遊んだ息子たちも、いまは高校生と中学生。「たまには公園でサッカーをやろう」と誘ってみても、「ケガすると危ないからやめたほうがいいよ」と相手にしてくれない息子たち。大きくなった息子たちに、うれしいやら、ちょっと寂しいやら・・・・・・。

 子育てしたのか?育てられたのか?ともかく、元気に育ってくれてありがとう。君たちのオヤジになれてよかった。「これからもよろしくな」。

資料:月刊こども未来

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