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パパの子育て体験記

パパの子育て体験記

理論派・実践派、各界の著名人が、それぞれの「男の子育て参加」実体験を率直に語ってくれました。
中学でフランスへ渡った娘。親はセーブではなく、ひたすら後押し。

田崎 真也 (世界最優秀ソムリエ)

PROFILE(たさき しんや)
1958年東京生まれ。77年フランスに渡りワインを学び、83年日本のソムリエコンクールで優勝。87年ホテル西洋入社。95年世界最優秀ソムリエコンクールで日本人初の優勝。「ワインは憶えてから楽しむものでなく、楽しんでから憶えるもの」をコンセプトに、東京都内で「田崎真也ワインサロン」を主宰。都民文化栄誉章、フランス農事功労章シュバリエ受章。「田崎真也の記念日ワインにはこの花を」など著書も多数。

田崎 真也

 ソムリエとしてがんばっている姿を見せたくて、コンクールには妻や娘をよく連れていきました。1989年、パリで開かれた世界大会もそうでした。大会の二週間前に、ワインの産地ブルゴーニュに入り、時差ぼけの解消と勉強を最終的に詰めるために、家族で間借りして滞在していました。

 娘は、当時三歳。人とのコミュニケーション力が養えるという期待をこめて、日本では1歳から保育園に預けていました。ブルゴーニュで間借りしていた家の子どもは幼稚園に通っていたのですが、「勉強に集中するためにも、娘さんは、うちの子と一緒に幼稚園に行かせてみないか」と誘われました。当時の幼稚園は、一時滞在の外国人も気軽に受け入れてくれ、四日間ほど臨時入園させてくれました。言葉は通じなくても毎日とても楽しそうで、最後の日に迎えに行くと、外国人という珍しさもあって大変な人気者になっていたのです。

 コンクールを終えて帰国し、これから娘をどうしようかというとき。もともと小学校からはフランス人学校に、と考えていたので、「フランスであんなに楽しんでいたのだから」と、幼稚園から入れることにしました。

 このフランス人学校の場合、「みんな同じにはしない」ことがとても新鮮でした。同じ時間に粘土遊びをする子、お絵描きをする子・・・・・・、子どもたちはそれぞれ好きな遊びをしていました。そろって一つのものを描くときも、「こう描かなくてはダメ」という基準はなく、みんな好きなように描いていました。できるだけ写実的に描けるのがいい子とか、木は茶色、葉は緑、空は青・・・・・などどいう画一的な指導はしないのです。

 こういう子どもの個性を大切にするところに通う以上、親のほうの意識改革も必要です。進路など、子どもが自分で考えて決めることが最優先であり、それを親が最善の方法でフォローするのが重要です。娘はフランス人学校の小学校に進みましたが、フランス語の表現力をもっと伸ばすためにはフランスで暮らしたほうがいいと判断し、中学入学のときに母親と二人でフランスに渡りました。いまでは母親の立派な通訳として、フランス語で交渉ができるようになりました。

 自分の道を自分で選べるような子に育てていくためには、親の役割は子どもをセーブすることではなく、後押しすることだと思います。もちろんセーブするところはセーブするのですが、それは親のそれまでの経験からではなく、子どもにとってリスキーだった場合です。とかく親は自分の経験を踏まえて、子どもをセーブしがちですが、子どもはいま、そして未来に向かって生きているわけで、親の過去は違う次元の問題です。

 親は子どもより偉いんだという発想はやめたほうがいいかもしれません。子どもから教わることはいっぱいあるので、おおいにほめて子どもの創造力を引き伸ばしつつ、親は子どもから教わるべきだと思います。

資料:月刊こども未来

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