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パパの子育て体験記

パパの子育て体験記

理論派・実践派、各界の著名人が、それぞれの「男の子育て参加」実体験を率直に語ってくれました。
ぼくにとっては家族がすべて 子どもと嫁の応援背に 野球に集中できる幸せ

工藤 公康 (読売ジャイアンツ投手)

PROFILE(くどう きみやす)
 1963年愛知県生まれ。名古屋電気高校(現・愛工大名電)卒業後、82年プロ野球・西武ライオンズ入団。本格派左腕投手として活躍。95年福岡ダイエーホークスを経て、00年読売ジャイアンツ入団。MVP2回、最優秀防御率4回、最多奪三振2回、最高勝率4回、ベストナイン3回など輝かしい成績を残し、通算184勝(105敗)は現役最多(プロフィール中の数字は02年シーズン終了時のもの)。

工藤 公康

 五人の子どもに恵まれましたが、子どもが嫁のおなかの中にいたシーズンは、なぜかいい成績を残すことができました。嫁も頑張ってるから、自分も……という精神面の充実もあったのでしょうが、生まれてくる命、そして家族に守られながら、きょうまで野球を続けてこられたような気がしています。

 負けた試合の後など、「パパ、次があるから」「今度は頑張ってね」と、みんなで励ましてくれます。そんな家族に、負けてイライラしたところは見せたくはないので、車の中で音楽を聴いたりして頭を冷やしてから帰宅するようにしています。当たり散らした何気ない一言で、子どもを傷つけたら、親子がバラバラになってしまう、とも思っているからです。
 ナイター中心のぼくと子どもたちとでは、どうしてもすれ違いになってしまいます。でもそれ以外の日やシーズンオフはできるだけ一緒にいる時間をつくり、子どもの行事にもできるだけ参加するようにしています。

 それでも足りない部分は、仕事のことを含め、嫁がぼくの立場になっていつも子どもたちに言って聞かせています。「きょうはパパを寝かせてあげてね」「今はお仕事が大変なときなの」というふうに毎日、細かなところまで気を遣ってくれています。
 嫁はぼくが投げている試合のテレビ中継を、正座して見るのを習慣にしていましたが、これは子どもたちにも受け継がれています。こんな嫁の助けもあって、触れ合う時間が限られた中でも確かな父子関係を築くことができています。

 勉強でもスポーツでも、親に強制されると子どもは逆にやる気をなくすことが多いので、必要性を自覚できるまで待つことにしています。「パパとママはおまえのことをどんなに愛しているか」ということを、言葉や行動で表現してあげると、子どもは今しなければいけないことを自然と自覚するもの―そんなことが最近分かってきました。

 ぼくは、親に叩かれた勢いで障子が破れ、ガラスが割れるというような家庭で育ちましたが、子どもたちにそこまでの厳しさを与えることはしません。しかし、嫁が手に負えないとき、「パパに言いつけますよ」と言えば、子どもたちはピシッとするような怖い存在にはなっているようです。叩く、叩かないの問題ではなく、大事なのは子どもたちのことを「どれだけ愛しているか」をきちんと伝えることでしょう。

 ぼくにとっては家族がすべてであり、野球は生活手段の一つに過ぎません。家族が「もう野球をやめて」と言えば、野球をやめます。今はぼくが野球を続けることが家族の幸せにつながっています。だからみんながぼくを応援してくれているのであり、ぼくもそれに応えて精一杯、野球に集中しているのです。(談)

資料:月刊こども未来

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