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「あたりまえ」が難しい時代の子育て支援 −地域の再生をめざして−

小川 清美、土谷 みち子 著
フレーベル館(03-5395-6604)
定価1,260円(本体1,200円) 132ページ

表紙


 この本には、大学で子どもの遊びや発達の研究をしてきた著者が、東横学園女子短期大学キャンパス内に設けた子育て支援センターでの多くの親子とのかかわりから得た知見、すなわち、子育ての「あたりまえ」が詰まっています。ここで言う「あたりまえ」とは、子育てのノウハウや、親はこうあるべきといったことではありません。地域の中で多くの親子が集まり、経験を持ち寄り、互いの様子を見る中で、自然に多くを学び合う。そんな子育てが「あたりまえ」と著者は言っているのです。そうした「あたりまえ」が「あたりまえ」に存在しなくなった現代社会の中で、新たに「あたりまえ」ができる場をつくる試みが丁寧に紹介されています。平成16年に閣議決定された「少子化社会対策大綱」には、4つの重点課題の一つとして「子育ての新たな支え合いと連帯」が挙げられています。ポイントは「新たな」という点です。「あたりまえ」や「再生」というのは、誤解を招きやすい言葉でもあります。地域で子育て支援に携わる人たちの中からも、今の親たちのふがいなさを嘆き、新たな支援の必要性について疑問視する声も聞こえてきます。しかし、時計の針を元に戻せるわけではありません。きずなが弱くなっているのは、自分本位になっているのは、親たちだけではないからです。弱くなった地域、その現状から出発して先に進もうとする著者の試みと、現場で感じ取っている確かな手応えが、全国に広められることが期待されます。

(評・三菱UFJリサーチ&コンサルティング 主任研究員 矢島 洋子)
資料:月刊こども未来 2007年7月号より転載
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