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子育て支援の理念を原点から見つめ直し、これからの方向性をさぐる。

「子育て支援が親をダメにする」なんて言わせない

大日向 雅美 著
岩波書店 (03-5210-4000)
定価1,680円(本体1,600円) 210ページ

表紙


 日本では平成6年ごろからエンゼルプランや児童の権利条約批准をはじめとして「子育て支援」につながる社会的なつぼみが多数見られるようになりました。こども未来財団発足も同年です。その後の子育て支援サービスの開花はご存じのとおりですが、ここにきてバッシングやバックラッシュとも取れる風潮が全国で散見されています。そうした疑問の声を受け止めながら感情的に反応するのではなく、学問・実践の両面から実際の子育て支援を冷静に、しかし温かく分析・紹介しているのが本書です。
 2部構成で、第1部は「支援しても少子化が止まらない」、「こんな親まで支援するのか」といった代表的な批判の声に丁寧に答えています。第2部は母性愛神話研究の第一人者である著者が研究者としてだけでなく、NPO法人による子育て支援施設<あい・ぽーと>の施設長として取り組んだ実践が記されています。「ブーム」に終わらせない本質的な浸透と定着を目指して、現場で悩み試行錯誤した実践の記録として、同種のサービスに携わる行政・民間の方の参考にもなるのではないでしょうか。また、子育て中の方が育児を振り返る鏡としても興味深いものです。実際に親子と向き合って得られた示唆に富む知見はどのようなものであったか、子育て支援に疑問を感じている方にこそ、ぜひご一読いただきたいと思います。

(評・聖学院大学人間福祉学部助教授 中谷 茂一)
資料:月刊こども未来 2006年10月号より転載
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