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本書は、平成4年度の国民生活白書「少子社会の到来、その影響と対応」を取りまとめた元経済企画庁国民生活調査課長が、少子化の原因や対応に関する21人の文章を集めて編集したものです。少子化対策としては、保育所の待機児童ゼロ作戦、幼児虐待への対応など、現在直面している問題ばかりが注目される傾向にありますが、本書ではもっと長期的な視点で、かつ多方面から、少子化という現象が議論されています。
例えば、「自然の一部である人間という環境が破壊されているのが少子化ではないか」(中村桂子氏)、「今ここで人口縮減をしなければ、産業や農業が人口を扶養できずに、日本が再び侵略や戦争に向かう可能性もある」(高橋英之氏)、「江戸中期に経験した人口減少社会には文化の成熟があった」(古田隆彦氏)、「人間が生物であるという側面を無視したジェンダーフリーはしてはいけない」(長谷川美千子氏)など、経済学、社会学のほか、生物学、人口学、歴史学まで、さまざまな立場からユニークな見方が提示されています。「少子化は問題か」という基本的なテーマでさえ論者の意見は一致しておらず、少子化を議論することの難しさを感じさせますが、文系と理系の枠を超えて少子化について考えるという意味で、貴重な一冊と言えそうです。
(評・(株)日本総合研究所調査部主任研究員 池本美香)
資料:月刊こども未来
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