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多様な援助事例で課題と対応について学ぶ

児童虐待と児童相談所

岡田 隆介 編
金剛出版 (03-3815-6661)
2,800円+税 208ページ

表紙


 本書は、3部構成からなっており、第2部・3部を中心に児童相談所が援助した児童虐待事例も数多く掲載されています。児童相談所が児童虐待に対してどのような援助を展開しているかを学ぶためには最適のものと言えるでしょう。幾つかの章では、各児童相談所が試みている家族や虐待の状況の整理分類や援助手法が紹介されており、実際に援助に携わっている読者にも役に立つと思います。
 児童相談所は、増え続ける児童虐待について地道な対応を行いつつも、多くの困難を抱えています。その中でも、虐待を引き起こしている養育者への対決的にかかわる状況と共感的にかかわる状況とをいかに判断するかについては、児童相談所間あるいは内でも「揺れと悩み」が存在します。ときとして一つの家族について、援助経過の中で対応を変更する場合もあります。編者が強調している、児童相談所が「線」でかかわることができるかどうかの要点もここにあります。本書では、さまざまな援助実践が紹介されていますが、その「揺れと悩み」を垣間見ることもできます。
 児童虐待関係の報道があるたびに、とかく批判の対象となりがちな児童相談所が日常多くの課題に直面しながら、しかし多くの努力を払って児童虐待に対応していることを本書から学び取ることができるはずです。

(評・明治学院大学社会学部教授 松原康雄)
資料:月刊こども未来

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