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変容する家族像への、示唆に富む提言

家庭の闇をさぐる 現代の親子関係

斎藤 学 著
小学館 (03-3230-5739) 
1,600円+税 320ページ

表紙


 近年、幼児虐待や家庭内暴力、少年犯罪などが問題として噴出してくるにつれ、家族はどうあるべきかがますます問われるようになってきました。家族は善意に満ちた温かいものであるはずだといった理想像を基準にして家族関係の崩壊を危ぐする声は高まる一方です。
 精神医学の立場から家族関係を専門としてきた臨床医による本書は、このいわゆる健全家族の神話にとらわれることなく、あえて「家族の闇」に眼を向けることにより、現状を家族関係の崩壊という否定的ニュアンスでとらえるのではなく、それを一つの変化として冷静に受け止めています。家族は愛のみなぎるところだからこそ、またそれを求めて得られなかった者たちの怒りと恨みが渦巻くところでもあるというわけです。
 NHKのテレビ講義を基に編まれた本書は、変容する家族の姿を豊富なデータを基にマクロな視点から分析しているだけでなく、臨床実践を通して得られたさまざまな事例研究の成果を交えつつミクロな視点からも、親子関係の深層に切り込んでいます。終章では、家族が単に契約で成立するものではなく、父は父の、母は母の役割を学ぶことを通して初めて父母となるのだという家族観の基本に立ち返るという観点から、21世紀の家族像に対する大変示唆に富む提言がなされています。

(評・京都大学大学院教育学研究科助教授 鈴木晶子)
資料:月刊こども未来

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