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この本は、保育の現場の読者を主に想定して、児童虐待(筆者は「子ども虐待」という用語を使っている)について解説したものです。虐待の定義、範囲、タイプ(身心的虐待、ネグレクト、性的虐待、心理的虐待)、虐待問題の歴史・実態、そして背景にある育児不安や発生要因などについて、基礎から分かりやすく説明されています。その上で、保育所での対応を念頭において、発見−通告−保護−援助の各段階における行動の指針が示されています。特に、虐待の兆候を分かりやすく示すとともに、組織的対応をすべきこと、通告をちゅうちょしないことなど、現場の担当者の立場に立った丁寧な指導は有用です。
年間3万件という推計がわれわれを驚かせましたが、育児不安、虐待不安、夫婦間の人間関係の希薄化など、児童虐待はいまや特殊な家庭だけのものではなくなってきており、一般の家庭にも介入し、援助を行う必要性が増大してきています。児童虐待防止法で発見・通告の義務、親権者であることの免責の排除などを明確に規定したのは、そのうような背景によります。公的機関の役割はますます大きくなってきています。
家庭以外で児童に触れ合う場所として、保育所の役割は重要です。この本の意義も大きいと言えるでしょう。
(評・大阪学院大学法学部教授 小島晴洋)
資料:月刊こども未来
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