|
著者のノルトが1954年に発表した「子は親の鏡」という20行ほどの詩は、当時10ヶ国語に翻訳され、多くの国々で読まれました。「子どもに接するときどんな親であるべきか」という、親であれば必ず直面する悩みに率直に応える内容として好評を博したのです。
詩の発表後40年が経過し、その間の社会的な変化も踏まえて元の詩に修正を加え、詩の1行1行の思いを解説したのが本書です。
本書は既にベストセラーとなっていますが、多くの人がこの本を手にする理由は、内容のシンプルさにあります。著者の主張は、「子どもは親を見て育つ」の一点です。けれども、だから親は子どもの模範となるべきといった窮屈な論が展開されるわけではありません。『完璧な手本になる必要はない』という節では、「感情的になってしまったらそれを認め、子どもに謝る、子どもはそこから大切なことを学ぶ」と指摘します。子どもにとって大切な親の姿を、あらためて考えさせられます。
また、本書に出てくる子どもたちの言葉が、日常のわが子との会話と重なってくるような、現実味のある事例の豊富さも本書の魅力といえるでしょう。
子は親の鏡であると同時に社会の鏡です。子育てをしている親だけでなく、社会全体でノルト女史の言葉をそしゃくしたいものです。
(評・ニッセイ基礎研究所主任研究員 武石 恵美子)
資料:月刊こども未来
|