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親子の
コミュニケーション

親子のコミュニケーション

そばにいるだけではわかりにくい、お互いの心の中。親子のコミュニケーションづくりにどんな工夫をしているか聞いてみました。


“朝は必ず家族で食卓を囲む”習慣が
家族の交流に大きな意味を持つ
山本 益博
山本 益博さん
(料理評論家)


PROFILE(やまもと ますひろ)
 1948年東京浅草生まれ。早稲田大学卒業。卒論『桂文楽の世界』が『さよなら名人藝』として出版される。82年に出版された『東京・味のグランプリ200』より、食に関する著述、講演、テレビ・ラジオ出演を始める。「毎日、外で食べていれば食っていける不思議な職業」を確立し、コラムやガイドをメール配信によってオンタイムで展開中。2001年フランス政府より農事功労勲章シュヴァリエを授与される。
「食」を通した家族の交流
 親子のコミュニケーションを考えるとき、わが家で欠かせないのは、朝食を共にすることです。職業柄もあって、夕食は外食ということが多い私も、朝は必ず家族で食卓を囲み、一日を始めます。小さなことのようでも、こうした家族の習慣は大きな意味を持つと思います。そしてわが家の朝ご飯では、みんながよくしゃべります。日常生活の中で見聞きしたこと、感動したことなど、家族の動きについても、こうした時間から見えることが多いものです。
 家内が働いていることもあって、小学校六年生の娘と二人だけで出かけたり、共に時間を過ごしたりすることもあります。娘が五歳のころ、取材先の天ぷら店に連れて行ったことがあります。たいそう気に入って、それ以来、父親と出かけるとおいしい物が食べられると覚えたようです。最近は大人の中に交じって、必死に頑張っていますね。私自身が料理を作ってやることもあります。また、一緒に作るようにもなって、それも楽しみの一つになっています。
 娘がまだ低学年のころ、はしの持ち方がおかしかったために、家内が「きちんと持てるまで食べてはいけません」と言ったことがありました。娘は泣きながら正していましたが、ときには親としてしっかり教えることも必要だと思いますね。
 私自身は娘が生まれてから「食育」に興味を持ちましたが、「食」は本来、人間にとって基本となるものです。また、親子の中で、最も身近なコミュニケーションツールになると思いますね。食べ物の大切さや食材の安全性を、まず親の側が再認識して子どもに伝えていくことも必要になっているような気がします。
音楽を通して感動を共有する
 私の場合、親子のコミュニケーションを考えるとき、「食」と同様に大事なものがほかにもあります。それは音楽です。娘は児童合唱団に所属していて、何度もオペラの舞台を踏んでいます。一方、私自身も、中学二年生のときから書き続けた『僕の音楽日記』という日記が、大学ノート六冊になるほどの音楽好きなんです。私の仕事は現在、料理が中心になっていますが、仕事の原点はクラシック音楽にあると思っています。今度娘とワーグナーのオペラをみに行きますが、どんな感想を持つか今から楽しみです。親子で一緒に何かをすること、例えば食事や音楽で感動を共有する時間はかけがえのないものですね。
 子どもには、いろいろなものとの出会いの場を与えてあげたいと思います。また、親の視界の中にいるという感覚を子どもが常に感じていられるようにしたいとも思っています。これは、いつも親に見守られていると子どもが感じることです。こうした感覚をどんなときにも子どもが持っていると、それが安心感という土台になって、自分でいろいろなものを求めていく力である「自発力」が、自然と身についていくと思います。自発力があれば道は開けていきます。逆に、親がいくら与えても、自発力がないとダメですからね。親子のコミュニケーションを通して、自発力が発揮できるような環境づくりをしてあげたいと思います。 (談)

資料:月刊こども未来


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