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「男の子育て」、ご意見番

「男の子育て」、ご意見番

父親にとって「子育てにどう関わるか」は重要なテーマ 「男の子育て」について、父親、母親の立場から、男性と女性に「ご意見」を伺います


おじいちゃん、おばあちゃん 父親、母親とバランスよくかかわる。「大好き」を、体で、言葉で 子どもに分かりやすく伝える
長谷川 陽子 (チェロ奏者)

PROFILE(はせがわ ようこ)
 1987年リサイタルデビュー、88年協奏曲デビュー、同年桐棚学園大学に入学。この間デビューアルバム『珠玉のチェロ名曲集』で邦人チェリスト初のクラシック・ヒットチャート第1位に。85年第3回アリオン賞審査員奨励賞、88年霧島国際音楽祭賞、91年モービル音楽賞奨励賞等、受賞多数。http://yoko-hasegawa.com/

長谷川 陽子

生まれたときからパパの育児が始まりました

 わが家では階下に父と母が住んでいますので、三人家族というよりはむしろ五人家族のような感じです。それに加えて、姉の家族もよく来てくれますので、息子の朋也(ともや)にとっては大人が何人もかかわってくれています。主人は、私が帝王切開での出産で出産後すぐには何もできなかったこともあって、赤ちゃんの世話をパパもするというのは自然の成り行きでした。家のこともできなかったので、うまく空気が作れちゃったという感じです(笑)。
 演奏家という仕事柄、オンとオフとがかなり曖昧で、切り替えも非常に難しいという状況でもあります。それを見ていて、主人の方からこれはサポートしてあげなきゃいけないなというふうに感じたんだと思います。誰でも必死に頑張っている人を見れば助けてあげたくなると思うのですが、そんな空気が自然にできて、子育てにも主人だけでなく、いろいろな人が助けてくれるようになっていったんだと思いますね。
 主人はこのごろでは子どもを友だちだと思っているようで、二人でいたずらばかりしています。布団の中で物を食べたり飲んだりしてはダメと口をすっぱくして言っているのですが、この前も、家を空けた翌日、掃除をしようとすると布団からおせんべいが出てきた……昨日二人で食べたな、という具合で、いたずらっ子二人組で楽しんでいます。これも赤ちゃんのころからの積み重ねの成果(?)があってこその楽しみ方なんだと思います。

サポートしてくれる人間関係は宝物

 同じ育児分野でも、どうしても母親でなければというときや、そういう部分はあるかもしれませんから、それは外せないとは思いますが、育児が一人だけに集中してしまうのは危険だと思います。フォローし合って子どもに対して程よくかかわれることが必要なんだと思いますね。
 私自身は、いろんな人に助けてもらいながら暮らしているというのが実感です。家にいるときにも練習をする時間がありますので、そんなときは、おじいちゃんおばあちゃんと子どもは勉強したり遊んだりしています。シッターさんもお願いしますし、姉夫婦にお世話になることもあります。一人の人間にはやはりキャパシティーがあって限界もあります。パパだけのサポートで十分かといえば、そういうものでもありません。もちろん仕事もあって、仕事がある程度満足にできていなければ、子どもの世話も精神的にやりにくいですよね。いろいろな人の助けがあり、プライベートも守れて、しかも子どもに対してみんなが程よく責任を持って育児に当たれるということ、その人間関係は私にとって本当に大切な宝です。
 私自身が子どもだったときには、父が音楽評論家でがむしゃらに仕事をしている、いわゆる仕事戦士という感じで、ウィークデーは夜のコンサートに出かけていましたから、私たち姉妹が学校から帰ってくるとコンサートに足を運び、夜寝たころに帰って来るというすれ違いの生活をしていました。「お父さん、また明日来てね」という感じでしたね(笑)。
 それでも母と父の間で子育てについて話し合ってくれていたようで、母が必ず家で待っていてくれて、家に帰るとおやつを食べるという毎日でした。必ず家に待っていてくれる人がいるというのは大きな安心感だと思います。この誰かが家で待っていてくれるという安心感は子どもにも与えてあげたいなと思いましたね。よく言われることですが、子どもを持って親のありがたさをしみじみ感じます。あまりにも身近にいて、いてくれるのが当たり前だったので気が付きませんでしたけれども、どういう思いでやってくれていたかを考えられるようになりますね。
 私はよく「大好き」と言いながら子どもを抱きしめます。小さい子どもにとっては察するということは至難の業ですよね。大人同士のように暗黙の了解というのは成り立たないと思うんです。とにかく分かりやすく伝えることが必要だし、抱っこは気持ちがいいし、「大好き!」がダイレクトに伝わると思うんですよ。朋也も歌うように「大好き!」を連発しています(笑)。
 私は、自分がかかわるすべての人(それはスタッフに限らず、共演者のこともあれば、シッターさんだったりもします)に対して、何でもいいから相手のいいところを見てどれだけ好きか、人間として好きになれるかということを考えますね。その人の個性が好き、容姿が好き、声が好きなど何でもいいんです。相手を認める、ということを大事にしています。そうすると共感できるし、自分も幸せになれます。
 曲のことがどれくらい好きかが演奏にも出てきますが、人に対しても、どんなふうに好きでいられるか、人間として好きと言い続けられるかが永遠のテーマといっていいかもしれません。(談)

資料:月刊こども未来


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