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「男の子育て」、ご意見番

「男の子育て」、ご意見番

父親にとって「子育てにどう関わるか」は重要なテーマ 「男の子育て」について、父親、母親の立場から、男性と女性に「ご意見」を伺います


父親よ、自信をもって自身を語ろう世の中のしくみを子どもたちに伝えるために
和田 秀樹 (精神科医)

PROFILE(わだ ひでき)
 1960年大阪府生まれ。85年東京大学医学部卒業。同附属病院精神神経科助手などを経て、現在、心理学ビジネスのシンクタンクを設立。川崎幸病院精神科顧問、国際医療福祉大学教授、一橋大学経済学部非常勤講師も兼ねる。心理学、教育・老人問題から人材開発、大学受験まで幅広いフィールドで活躍中。著書は『痛快!心理学』『エリートの創造』など多数。2004年1月より「学力向上!親の会」発足。
http://www.hidekiwada.com

和田 秀樹

 父親としての子育てを考えた場合、女性の社会進出が進んだとはいえ、やはり家族における「社会の窓」として、世の中のしくみを子どもたちに伝える役割があると思います。

 私には十四歳と九歳の娘がいます。私は「社会の窓」として彼女たちに、「女の子なんだから、男の子以上に勉強しないと一人前に認められない。これから世の中が実力主義になってくれば、女性だから、という差別は少なくなってくるが、その分、実力がモノをいうようになる」といったことを言い聞かせています。「子どもに分かるのか」と思われがちですが、小学生以上になれば、大人が考えているより、子どもたちは社会のしくみをよく理解できるものです。

 こんな話をすると、多くのお父さん方は「自分のような平凡な人間には、特別に伝えるようなことは何もない」と考えがちです。しかし、今の自分の仕事のこと、一生懸命になっていることを素直に話せばいいのです。

 世間的にどんなに偉いとされている人よりも、子どもにとっては親が一番。例えば仕事の話なら、平凡に見えても、今の仕事においてはみなさん一人ひとりが立派な専門家なのです。仕事でなくても、日々、悪戦苦闘していること、楽しかったことなど、すなわち自分自身についてもっと自信をもって、子どもたちに語ってほしいですね。

 それには、自分は世の中の役に立っていると、父親自身が自分を見つめ直すことから、子どもへの語りかけが始まる気がします。

 私の娘への語りかけでは、最近、うれしいことがありました。私の持論の一つに、「子どもが親の財産に頼るのは最低。相続税を高くして、その分、子育て世代の税負担を軽くすべき」というのがあります。「そんな親の子が、親の財産をあてにしていては世間の笑いものになるだけ。だから一生懸命勉強しなさい」と、子どもによく話してきました。

 これに対して、上の娘がアメリカの大富豪・カーネギーの自伝を読んで、「“子どもに財産を残すのは富豪の恥である”だって。お父さんと同じだね」と教えてくれました。子どもにとっては、親の財産をあてにしていた方が楽なのに、読んだ本の中から私のために一つの言葉を拾い出し、私の考えを応援してくれたわけです。

 さて、子育てに関連して、いろいろな製品や施設(ハード)がそろい、肉体的には楽になったはずなのに、現代の女性が子どもを産みたくない理由は、どうやってしつけるか、あるいは教育を受けさせるか、といった心理的な、いわばソフトの面での不安が大きいのではないでしょうか。そんなソフト面でサポートするのも父親の子育てです。

 この中のしつけに関しては、子どもたちの夢が社会に向かって開いている場合は、生活態度も崩れにくいものです。夢をあきらめてしまった時点で崩れがちです。ここで自身の社会経験をもとに、「あきらめてはいけない。世の中捨てたもんじゃない」と、一つの抑止力になることが父親の役割です。そのためには父親自身が時代の閉塞感に流されないこと。親が流されては、子どもはもっと流されてしまいます。(談)

資料:月刊こども未来


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