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「男の子育て」、ご意見番

「男の子育て」、ご意見番

父親にとって「子育てにどう関わるか」は重要なテーマ 「男の子育て」について、父親、母親の立場から、男性と女性に「ご意見」を伺います


伝わってこない 父親参加の「子育ての楽しさ」 子育てスタイルも家庭ごとに違うはず スタンダードにとらわれないで
大森 一樹 (映画監督)

PROFILE(おおもり かずき)
 1952年大阪市生まれ。78年『オレンジロード急行』でメジャー映画監督デビュー。80年京都府立医科大学卒業、83年医師国家試験合格。『ゴジラ』シリーズをはじめ、ヒット作、話題作多数。00年4月より大阪電気通信大学教授。文化庁優秀映画賞、文部省芸術選奨新人賞、日本アカデミー賞優秀監督賞など受賞多数。最新作は03年1月公開の『T.R.Y』。

大森一樹さん 写真

 子どもをしかるときのことを考えてみてください。おまえが悪いことをしたら、(仕事や生活にマイナスになるなど)お父さんが困るんだ。こんな考えがどこかにあり、子どもの将来のためでなく、自分自身の将来のために子どもをしかっていることがありませんか。

 そんなしかり方では、子どもが自ら何か変えようとすることはありません。私は新聞紙上で人生案内を担当していますが、“六十歳の息子が働かずに困っている”と、九十歳の親が相談してきたことがありました。そんな高齢になっても、まだ子どもをしからなければいけないのは、「どこか間違っていたのでは」と思ってしまいます。

 人の親になったら、特に父親は、「どんなことがあっても、子どもに関する責任はすべて自分がとる」くらいの気構えがほしいものです。変に、自分にふりかかりそうな不安材料をあれこれ考えるより、親自身も楽になれるはずです。

 現在、二十二歳の娘と、十五歳の息子がいますが、映画制作の合間にできる数カ月間ごと、子育てに明け暮れた時期もありました。いつも睡眠不足で、四六時中子どもに拘束され、「どうして食べてくれないのか」「こんなことをなぜ覚えないのか」、そして「これが一生続くのではないか」などと悩む母親の気持ちも、体験を通してよく理解できます。

 いま、こんな若い母親が増えています。そこで父親には、子育てをもっと長いタームで見て、いまの大変さはいつまでも続くものではないことを母親に伝え、何より自ら子育てを担い母親を支える役目があります。

 私自身はいま、「反抗期の息子がこのままではどうなってしまうのか」という気掛かりがありますが、知人からの「曇り空の中に、突然青空が広がるもの」というメッセージには、大いに励まされました。こんな一言も母親に対する父親の役目でしょう。

 一方、最近観た映画で、「子どもは親の“かせ”である」といったセリフが気に掛かりました。子どもが親の“足かせ”になるのは当たり前だと考え、親はそれを前提にした行動や考え方に改めた方がいいというのです。

 こうした、子どもが“かせ”になるという考え方が、最近の日本の少子化の根本にあると思われます。「子育ては大変」という情報ばかりで、子どもを持ち、育てることの楽しさという、もう一方の真実がうまく伝わっていない気がします。

 ここで肝心なのは、父親の子育て参加を含めた子育ての楽しさには、家庭ごとにいろいろなスタイルがあっていいという視点です。子育ての仕方やそれに伴う楽しさも各家庭で違っていて当然です。もっとも、母親が病気でも、仕事を言い訳に子育てから逃げようという父親は論外なのは言うまでもありません。

 また、夫婦で共に子育てをして……といった、いわば「ファミリースタンダード」にとらわれ過ぎると、スタンダードから外れたところばかりが目につき、子育てが“かせ”になってしまいます。各家庭独自のスタイルで子育てが楽しめる環境づくりが望まれます。(談)

資料:月刊こども未来


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