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「男の子育て」、ご意見番

「男の子育て」、ご意見番

父親にとって「子育てにどう関わるか」は重要なテーマ 「男の子育て」について、父親、母親の立場から、男性と女性に「ご意見」を伺います


言葉にはしなくても、行動で伝える男親の道徳観。詩人のお兄ちゃん、天真爛漫な弟、子ども二人と大盛り上がりのパパ
山田 詩子(絵本作家)

PROFILE(やまだ うたこ)
 1963年生まれ。東京・吉祥寺の紅茶会社「カレルチャペック紅茶店」代表。商品開発、雑貨デザイナー、絵本作家として活躍中。紅茶やお菓子の著書多数。 絵本に『ぶたのチェリーのおはなし』『赤ちゃんのファーストブック』等多数。夫、息子2人(康平君6歳、和之君4歳)の4人家族。

山田 詩子

自分の存在意義を再確認した子どもの誕生

 八歳年下の主人は、子どもが生まれてきたとき立ち会い出産でしたが「自分が生まれてきた意味があったと思った」と、とにかく感動していました。知り合ってから五カ月という電撃結婚で、私は仕事も忙しく、旅行の計画も立てていましたから、「えっ妊娠?!」という思いでしたけど、主人は大喜び。その感動が、言葉になったんでしょうね。
 出産後、実際には私は仕事、当時大学院生だった主人が育児の中心人物となるのは自然の成り行き。下の子が生まれたときは、長男の夜泣きがひどいこともあって、夜は主人と生まれたばかりの次男が一緒に寝ていました。人工乳をあげて、おむつを替えて寝かしつける、と当たり前にやってましたね。そのせいか、下の子はパパ似なのかもしれません。例えば絵本なども上の子はストーリー性のあるものやきれいなものなど何でも読みます。生まれたときからきれいなものに反応が良かったんです。一方、下の子は記号の本に夢中。千冊くらいの絵本が家にはあると思うんですが、ほかのものには見向きもしません。バイクだとか歯車だとか、そういったものへの“滞在時間”がとても長い。
 知らず知らずのうちに子どもの生き方、感性に対して影響を与えるのが親であり、男親の子育ての場合、特にそういう部分が大きいのかもしれません。

センス良く、何かしら発信する人間に

 主人と以前、彫刻の森を訪ねた際、そこに来ていた多くの人が物まねなどをしてふざけているのを見て考えてしまいました。人は理解できないものに出会うと、物まねをしたり、ちゃかしたりすることで自分と同じレベルに引き下げて安心しようとしているのかなと思いました。そういう感覚でなく、純粋に作品を鑑賞してほしいですね。そういう感性の中で子どもたちともおしゃれな会話が楽しめたらいいなと思います。それに、どんなチャネルであろうと、充電するだけになってしまうのでなく、自ら発信する側であってほしいとも思っています。最近、研究室を持って学生がまだ少ないパパは、子どもに「お菓子をあげたら、いっぱい集まるんじゃないかな」「オオタカのイメージのブローチを作ってみんなでつけたら?」とか言われて、「よーし、この研究室はみんなでつけなきゃいけないことにしよう」とか言って盛り上がっていました。冗談のセンスがさえていると、楽しいものですよね。大いに盛り上がっていますが、夜寝るときは、やっぱりママがいい。「夜になると気持ちがシーンとしちゃうの」と言ったりするんです。
 今、上の子は幼稚園へ行っていますが、お弁当作りも、着替えの準備も主人がやってくれています。お弁当も、もう少し彩りよくとか言い出せばきりがない。意識して言いませんね。彼には彼の自信がありますから、よろしくお願いします、という感じでやってもらっています。主人にとって家事は趣味みたいなもの。こうやってコップを斜めにおけば水切れが良くてかびが生えないとか、この洗剤の除菌方法は、とか言いながら楽しんでやってくれています。

知らないうちに、思いやり、道徳観も受け継がれていく

 主人は、子どもの生まれたときの状況もあって協力するというよりももっと積極的に育児をしてくれていると思いますが、育児って、親と子の組み合わせや、もともと子ども本人が持っているものが大きいと思うので、子育てを経験しているからと言って、何か参考になることを語れるかというと、そういうことはないと思います。
 感性や興味という部分で、自然に子どもたちに影響を与えると思いますが、同じように道徳観も受け継がれていくと思うので、親が自分自身に対して向上心なり、思いやり、礼儀などを培っていくことは大切なことかもしれません。例えば、ひょんなことから付き合い始めた主人ですが、主人が周りの人に対して辛らつな言い方をしないことや、うわさ話をしないこと、ずるいことをしない点、見栄っ張りでない点など、彼の道徳観を共有できると思いましたし、子どもにもそれを受け継いでほしいと思います。
 ある時、マンションの駐輪場で自転車が何台か倒れていたことがありました。主人は、自分が倒したわけではありませんでしたが、何も言わずに直していました。それを見て、偉いなと思いましたし、同じ道徳観を持っているなと思いました。これが逆に、ほかの自転車を倒したのに平気でいるという場面を見ることになったとしたら悲しい……。子どもたちに伝えうる道徳観を言葉で語ることをしないとしても、男親は行動で示していくものなのかもしれません。
 次男に向かって怒っているときに、長男が「和之ちゃんは、ぼくに○○(お菓子)をくれたことがあるよ。偉いんだよ」とかばうことがありました。優しさや思いやりが育っていることをうれしく感じています。(談)

資料:月刊こども未来


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