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こども未来財団調査
「子育てに関する意識」

こども未来財団調査「子育てに関する意識」

●『子育てに関する意識調査』を読んで
 上智大学総合人間科学部 社会福祉学科教授 網野 武博
■プロフィール
あみの たけひろ 1942年生まれ。東京大学教育学部教育心理学科卒業。厚生省児童福祉専門官、日本総合愛育研究所調査企画部長、東京経済大学教授を経て、1998年より現職。専門は児童福祉、発達心理学。著書に『児童福祉学』、共著に『臨床心理学』『児童福祉事例研究』、共編著に『心理臨床プラクティス〈6〉福祉心理臨床』『児童福祉の新展開』など。

1.はじめに
 わが国に1・57ショックという言葉が広がって以来、少子化の背景に関する実に数多くの背景とその対策が論じられ、幾多の政策や施策が展開されてきました。
 なぜ少子化が進むのか、またその歯止めがかからないのかということを探るためにもまた、数多くの調査が行われてきました。
 その一環として、こども未来財団は平成9年度、12年度に『子育てに関する意識調査』を実施しています。
 そして平成15年度に行われた今回の3回目の調査では、これまでに行われた数多くの調査とのすみ分けに意を配り、多様な価値観、相対立する価値観の狭間で揺れる子育て、子育ちの状況を捉え、子育てをめぐる社会のコンセンサスをもう少し明らかにしたいという趣旨がみられます。
 このため、調査対象は、子育て層、子どものいない層(未婚者・既婚者)、中高年層、そして中高生層と、この趣旨に沿った多様なものとなっています。ここでは、その重要な趣旨を踏まえながら、以下に調査結果の分析並びにそれに基づく提言を述べることとします。
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2.子育てにおける男女差と男女共同参画の課題
 この調査があらためて浮き彫りにした、特に重視すべき内容として、子育ての役割機能に関する男女差の問題と課題や少子化の背景についての認識に関する男女差の問題と課題があります。子育て層における不安・悩みは男性(父親)よりも女性(母親)に高くみられる傾向、子育ての担い手としての夫の役割に関する評価のギャップ(夫の自己評価値に対して妻からの評価値が低い)、子育てに関する意見や夫婦役割分担にみられる女性の不満、女性の子育てに費やされるエネルギーが男性より非常に大きい状況、これらの結果は、換言すれば家庭責任イコール妻・母親責任という現実があらためて浮き彫りにされ、従来から指摘されたり、推測されていた傾向がほぼ実証された結果となっています。
 それらの内容は、言うまでもなく個々の家庭の総体のみならず、まさに今日のわが国の社会の総体を如実に反映しています。母性神話とも呼ばれる女性の子育てへのプレッシャーは相変わらず重く、また男性の所得、収入重視指向と「男は仕事、女は家庭」という価値観の重さが伝わってきます。
 本調査が、家庭経営が双務的か片務的かという点に左右されていると指摘していることは重要です。このような状況を直視し、社会的見直しを図ることは、男女共同参画社会を図る上でも欠かせない重要な課題であると考えます。特に、妊娠や出産にあたっての夫やパートナーのいたわり・気遣いから始まり、そして仕事、子育て、家事全体を通した夫婦、父母の双務的分担と協働の重要性、そして子育て層、子どものいない層、中高年層、中高生層のすべての男女に必要な家事や育児そして子どもへの関心とかかわりの課題は重く、いまやそれらに関する意識や認識の変革の段階を超えた、行動を通した変革が求められているといえます。
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