乳幼児によくある病気 そのサインと症状
発作がない時の治療:
喘息の治療というと発作の時の治療と思われるかも知れませんが、実は発作がない時にも続ける予防的治療が大切なのです。というのは、発作を起こすと気管支ではアレルギー性の炎症が起こります。そうすると気管支の粘膜が荒れて、もともと敏感な気道がさらに敏感になり、よけいに発作が起こりやすくなるという悪循環があるからです。
予防的治療が必要になるのは、反復して発作が起こる人です。年に1〜2回、軽い発作しかないような人は、発作時の治療だけで、長期の継続的な治療は必要ないでしょう。
予防的治療の環境整備というのは、発作を起こす誘因を遠ざけるということです。主なものに、家の埃・ダニ、タバコの煙、そしてウイルス感染(風邪)があります。ただ、いくら神経質に家の掃除をしても埃・ダニは0にはなりませんし、風邪をひかせないようにといっても限度があります。過保護にならないように、できる範囲で無理のないようにということでしょう。
薬物による予防的治療に使われる薬の主なものは、アレルギーの反応を抑える抗アレルギー薬(経口、吸入)と吸入ステロイドです。症状の程度(どれぐらいの頻度で、どの程度の発作が起こるか)によってどの薬剤を使うか、または併用するかを決めます。これらに加えて気管支拡張薬や去痰薬を併用することもあります。薬物の減量・中止・継続は症状をみながら、数ヶ月単位で判断するのが一般的です。
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まとめ:
気管支喘息は病気の成り立ちについての解明が進むと同時に、新しい治療薬も開発され、適切な治療をすれば非常に良くコントロールすることができるようになった病気です。小児期に発病した喘息のおおよそ3分の2の人が、小学校に入学する頃にはほとんど発作を起こさなくなります。喘息を成人まで持ち越さないためにも、発病の早い時期から、症状に応じた適切な治療を受けることが必要と考えられています。
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急性細気管支炎:
ウイルスの気道感染により、乳幼児に起こる病気です。そのほとんどがRSウイルス(RSV)によるもので、冬季に流行します。症状は、軽度の発熱と鼻汁、咳、そして喘息と同じような喘鳴、呼吸困難です。RSV感染により末梢の(肺に近い)細い気管支が炎症を起こし、内腔が狭くなるために喘息のような症状になります。症状からは、ウイルス感染で誘発された気管支喘息の初めての発作と区別することは困難です。呼吸困難が強くなると、ミルクや水分の摂取量が減り、脱水症をきたしたり、低酸素状態となり、しばしば入院治療が必要になります。
治療には特効薬はなく、気管支拡張薬をはじめとする喘息に使うような薬を使いますが、効果は喘息ほどありません。脱水症に対して点滴をしたり、保温、加湿、酸素投与などの補助的治療をして、できるだけ良い状態に保ちながら、自然回復を待つというのが原則です。時には、人工呼吸器による呼吸管理が必要になることもありますが、多くは1週間程度の経過で回復します。
RSVはインフルエンザと同じような方法でウイルス検査ができます。冬場に乳幼児が風邪症状で受診すると、外来でRSVの検査をすることがありますが、これはRSVは他の風邪ウイルスより細気管支炎を起こしやすいからなのです。
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喘息性(様)気管支炎:
乳幼児の中には、発熱、咳の“風邪”症状に伴い喘鳴(ゼーゼー)を繰り返す子がいます。ただ、喘息や細気管支炎と違い、呼吸困難はないか、あってもごく軽度です。この状態に対して『喘息性(様)気管支炎』という病名を使うことがあります。喘息に似ているが、喘息に見られる呼吸困難がなく、喘息とはっきり診断できない状態ともいえます。
治療には喘息と同じような薬を使います。大きくなるにつれ、症状がなくなる場合もあれば、後になって、呼吸困難発作を起すようになり、喘息と診断される場合もあります。
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クループ:
喉頭(男性ののど仏の部分)にある“声帯”下の部分(声門下)の粘膜が、ウイルス感染(風邪)により炎症性浮腫(むくみ)を生じて狭くなり、息を吸う時に“ゼーゼー”し、息を吸うのが苦しくなる病気です。発熱に加え、声が嗄(か)れたり、“犬の遠吠え”のようなかん高い“ケンケン”した咳がでるのが特徴です。アレルギーが原因の場合もあり、この時には熱はありません。“ゼーゼー”や呼吸困難は深夜から早朝にかけて認められるようになったり、強くなったりすることが多いので、声嗄れと、特徴ある咳があれば昼間に受診をしておく必要があります。
治療には血管を収縮させて、のどの粘膜の浮腫をとる薬の吸入や、ステロイド薬を使います。症状が強い時は入院治療をしますが、窒息を起こすようなことはまずありません。
注意を要するのは声帯の上側にある喉頭蓋という部分に、細菌感染による炎症が生ずる急性喉頭蓋炎という病気です。症状はクループに類似しますが、クループより高熱で、のどの痛みが強く、唾液が飲み込みづらくなるので、涎(よだれ)が口から垂れるようになる特徴があります。この病気では窒息を起こすこともあるので、入院によるしっかりとした呼吸管理が必要です。
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喘鳴が聞かれるその他の病気:
生後早期の乳児は吸気時に鼻がフガフガして苦しそうに見えることがあります。これは鼻性の喘鳴といえますが、赤ちゃんが大きくなると自然になくなるので病気とはいえません。「赤ちゃんの呼吸と鼻づまり」の項を参照してください。
特に風邪をひいているわけでもないのに、生まれてまもなくから、息を吸う時(吸気時)にゼーゼーする場合には喉頭軟化症を疑います。鼻・咽(のど)腔から気管への入り口である“喉頭”は、乳幼児期には軟らかい(変形のために)ことがあり、息を吸う時の陰圧のためにへこんで狭くなり、“ゼーゼー”とした喘鳴が出現するのが喉頭軟化症です。哺乳中の“むせ”や急に顔色が青くなる“チアノーゼ”に注意が必要ですが、成長とともに自然に良くなる場合がほとんどです。
しかし、このような症状がある場合は、軽くても受診して診断をはっきりさせておく必要があります。
最後に、繰り返す喘鳴や咳の原因として忘れてはならないものに、気道(喉頭・気管・気管支)“異物”があります。気道異物で最も多いのはピーナッツです。幼児が豆を食べながら遊んでいて、転んだり、誰かに意地悪をされて泣いた拍子に、口の中にあった豆を気道に吸い込んでしまうというのが良くあるパターンです。直後は一時激しい咳がありますが、しばらくするとおさまります。その後、様々な長さの無症状の期間をおいて、咳や喘鳴が続いたり、繰り返すようになります。
頑固な咳や喘鳴で受診する時、このようなエピソードが過去にあったら医師に告げてください。
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文責/日本小児保健協会 |
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