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おっぱいごくごく(母乳についてのお知らせ) 母乳とダイオキシンに悩んだら

おっぱいごくごく(母乳についてのお知らせ) 母乳とダイオキシンに悩んだら

1. 私たちの身の回りのダイオキシンが不安なのですが

 どこか遠くの場所にあると思っていた「恐怖のダイオキシン」が自分のごく身近にあることを知ったら、不安になるのは当然のことです。
 しかし結論からいうと、私たちの身の回りの多くのものからはダイオキシンが検出されています。たとえば私たちがなにげなく吸う空気や子どもが楽しげに遊ぶ公園の砂場、泳ぐことのある川や海、大空を自由に飛んでいる鳥、広い海を泳ぐ愛らしいイルカにさえダイオキシンが含まれていることが分かっています。
 「身の回り」だけではありません。私たちが毎日食べている食品やからだの中で流れている血液、赤ちゃんがごくごく飲んでいる母乳、毎日出てくるうんちにもダイオキシンが含まれていることが分かっています。つまり、これまでの科学的なデータからいえることは、「私たちはダイオキシンと関係なく生活しているのは1日もない」状態であるという事実です。
 それでは、いつからダイオキシンが身の回りにあふれるようになったのでしょうか? 科学者は、まだ工業が発達していない1800年代以前の環境からもダイオキシンを検出しています。これは山火事や火山によってダイオキシンがわずかながらできてしまうからだともいわれています。
 しかし、これらのダイオキシンの濃度の単位はピコ(1兆分の1)グラム(pg)というものです。あまりにも微量 なため想像できませんが、この濃度を測定することは、地球から太陽までずらりと並べたバナナの列から1本のバナナを測定することに匹敵します。これが一般 的に測定可能となったのは1970年代以降のことで、これ以前では、ほとんど家庭生活では健康影響上の問題とされていませんでした。このころの人たちの前には、小児マヒ(ポリオ)や百日ぜき、結核などウイルスやばい菌による病気の問題が横たわり、これらに不安を感じていたのです。不安は時代とともに変わります。多くのウイルスやばい菌による病気が克服され、テレビや新聞、雑誌などにより「恐怖のダイオキシンが検出された!」という情報がちまたにあふれる時代に、ダイオキシンに不安をもつのは極めて当然のことではないでしょうか。


2. 赤ちゃんへのダイオキシンの影響が不安なのですが

 ダイオキシンの赤ちゃんへの影響について不安を覚えるのは当然のことです。赤ちゃんは大人を小さくしたものではなく、からだは発展の途上にありまだ未完成です。
 通常、赤ちゃんを育てるときに、身の回りにあるもので「不安でないものはない」といってもいいでしょう。私たちは、寝かせ方、お風呂のお湯、灰皿の中のたばこ、ポットの中の熱湯、道路を走る自動車など赤ちゃんに危険なものがたくさんあることを経験的に知っています。
 ダイオキシンの赤ちゃんへの影響は大きく分けて2つの影響があるのではないかと考えられます。一つはお母さんのからだを通 じておなかの中にいる赤ちゃんに取り込まれ影響を及ぼす場合で、奇形などが生じるのではないかというものと、もう一つは生まれた後に母乳を通 じてダイオキシンが赤ちゃんのからだに取り込まれ影響を及ぼす場合で、発達や免疫・生殖機能への影響などがあるのではないかと考えられています。
 比較的多量のダイオキシンを投与した妊娠している動物の実験では、口や腎臓などの奇形を起こすことが認められています。しかし、今のわが国の通 常の環境の汚染レベルでは、ダイオキシンによりこうした異常が生じることはないと考えられています。また、多量 のダイオキシンは動物に甲状腺機能や免疫機能などの低下を引き起こすことが報告されています。しかしながら、人に対しても同じような影響があるのかどうかについてはまだよく分かっていません。
 これまでの人の調査研究の結果から、出生時の赤ちゃんの奇形についてはここ25年間、発生する割合は約1パーセントでここ数年増加しているなどの変化はありません。また、1歳時の免疫機能や甲状腺機能への影響について調査した結果 からは、人工乳と母乳の差は特にありませんでした。
 ちなみに平成9年の一歳未満の赤ちゃんの死亡の中で、乳幼児突然死症候群SIDS)は496人、不慮の事故で278人が亡くなっています。このSIDSの発生は、人工乳、うつぶせ寝、両親のたばこと関係があることが分かっており、わが国を含め多くの国では予防のためのキャンペーンが行われています。
 ダイオキシンの健康に与える影響の大きさを考える際には、身の回りにある様々な赤ちゃんの健康への脅威となるもの全体と比較して考えることも必要なのではないでしょうか。


3. 母乳のダイオキシン汚染が不安なのですが

 わが国における母乳のダイオキシン濃度については、平成10年度に全国21地域における415人の母乳の調査が実施されました。この調査は、出産後30日目の母乳を調査したもので、世界最大規模の調査です。結果 は、母乳の中の脂肪1gあたりのダイオキシン濃度は平均22.2pg/gであり、このデータは他の先進諸国とほぼ同程度の濃度でした。
 それでは、世界は、母乳のダイオキシンをどう見ているのでしょうか?
現時点で、ダイオキシンを理由に母乳を与えることをやめるよう呼びかけている国はありません。また、世界保健機関(WHO)の専門家会合では、1998年5月に母乳中にはダイオキシンが含まれているが、母乳栄養は、母乳ほ育が乳幼児に与える有益な影響から判断し、今後とも推進されるべきとする見解を出しています。ダイオキシンの影響が心配で母乳をやめようかと悩んだ時に、諸外国の状況やこのWHOの見解などを参考にするのも不安解消のための解決策の一つと考えられます。


4. 母乳のダイオキシン汚染がだんだんひどくなっていると聞き不安なのです

 かつて母乳汚染については、1970年(昭和45年)に農薬の一種であるBHC(現在使用禁止)、1972年(昭和47年)に絶縁油として使用されたPCB(現在使用禁止)が問題となりましたが、大阪府ではこの汚染を調査するために母乳を毎年採取し、サンプルを保存していました。この保存された母乳を用いて平成9年度に実施された調査では、1973年(昭和48年)以降のダイオキシン濃度は減少してきており、最近までに概ね半分程度になっています。
 この結果は、パンフレットを手にしているお母さん自身が赤ちゃんの頃に飲んだ母乳の方が現在よりダイオキシンで汚染されていたということを示しています。
 ダイオキシンが社会的に問題となっていなかった20年前と違って、現在ではダイオキシン類対策特別 措置法に基づき環境基準も設定され、国をあげてダイオキシンの環境中への排出抑制対策が進められるようになりましたので、他の母乳調査を行っているヨーロッパ諸国と同様に母乳中のダイオキシン濃度は今後減少していくものと予想されています。

母乳中のダイオキシン濃度
出典:平成9年度厚生科学研究所「母乳中のダイオキシン類に関する研究」
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