梅雨、台風などの低気圧と共に、あるいは動物園への遠足、運動会の後の夜中、花火やタバコの煙の中にいた後などに、咳込んで起きてしまうことがあります。横になって眠るのを好まず、座ったまま、肩を上げたり下げたりして苦しそうにしています。耳を近づけてみると“ヒューヒュー”という笛を鳴らすような音が聞こえます。そう、このような場合、お子さんが気管支喘息の発作を起こしている可能性があります。
こんなことが、生まれて初めて起きた場合は、すぐに病院へ行きましょう。前にも同じ様なことがあって気管支喘息といわれ、お薬をもらっていたら、その指示に合わせてすぐにお薬を飲みましょう。
| ・軽いものから重いものまで、症状は3つに分類される・ |
- 小発作
“ヒューヒュー”という音は聞こえるが呼吸困難はなく、機嫌が悪くなく、遊び、睡眠、会話などが普通にできる状態。
- 中発作
“ヒューヒュー”という音も聞こえ、鎖骨の上や肋骨の間が呼吸に合わせて凹む陥没呼吸がみられ、時には呼吸困難に陥ることもあり、日常生活では、話し掛ければ返事をするがやや不機嫌なことが多かったり、遊び、睡眠が少し妨げられ、食事をとらなかったりという場合。
- 大発作
呼吸困難のため遊べず、睡眠も取れず、話し掛けても返事をすることができないなど、日常生活を満足に送れない状態。
呼吸困難の発作は、繰り返すことがあります。また、喘息発作は夜中から明け方におこることが多く、お子さんのみならず、親御さんにも負担となります。
気管支喘息の多くは、乳児から幼児にかけて現れてきますが、適切な治療を根気よく行えば、小児期の気管支喘息は、中学卒業までに、約75%が治癒します。検査は肺機能検査とアレルギーの原因を探る血液検査を中心に行われます。そして、その結果に基づいて、治療及び指導が行われます。
- 水を飲ませる
- 冷たい紅茶を飲ませる
- 外の空気を吸わせる
- 腹式の深呼吸などをさせて気分転換を図る
- 病院から、発作時に備え薬が処方されている場合には、速やかに薬を服用させる
紅茶には、テオフィリンという気管支を広げる作用を持つ薬剤と同じ成分が含まれています。また、冷たいものが食道を通過するという刺激が自律神経に作用し、発作をおさめる方向に働きます。
気管支喘息は、最近では、ある種の体質にもとづく慢性の炎症と考えられています。したがって、治療も発作そのものに対する治療と、発作を起こさないように普段から行う予防的治療があります。
発作時の治療法
空気が通る気管という管の表面にある粘膜が、ある種の体質により過敏状態になっているために、気管支にある筋肉が急激に縮んで、この“気管という空気の通り道”を細くしてしまうのが発作です。この細くなった気管を広くする働きをもつのが、気管支拡張剤といわれるものです。
急な発作の時には、β2刺激剤の飲み薬、あるいはネブライザーにより吸入する方法が行われます。発作時にネブライザーによって吸入すると、即効性があり、かつ飲み薬よりも少量で効果が得られ、副作用も少ないというものです。しかし、β2刺激剤には効果の限界があり、過量に使用することは危険です。その効果を発揮するためにも水分が補充されていることが重要なので、吸入への反応が悪いと、点滴治療が併用されることが多いのです。それでも効果が出ない大発作では、酸素吸入、ステロイド治療が行われます。
予防的治療法
普段からの予防的治療として、抗アレルギー剤の吸入、ステロイドの吸入も行われます。また最近では、夜間や明け方の発作を防ぐための、使いやすい貼り薬もできています。
喘息は、発作がおさまっても、すぐに完治するという病気ではありません。長期間にわたり、治療や管理が必要になるものです。そのため、発作時の薬による対処だけでなく、日常生活を管理し、発作が起きないようにすることが大切です。病院でも発作がおさまると、長期間にわたる管理の対策を立て、指導が行われます。
小児期の気管支喘息は、アレルギー性が90%を占めます。そのため、発作を起こすアレルゲンを明確にし、それを除去する必要があります。発作を起こすアレルゲンとして一番多いものがハウスダスト、ダニです。そのため、日常生活においては、環境の改善が先決。下記のような点を改善できると良いですね。
- 居住空間のお掃除をまめに行い、ハウスダストを取り除き、ダニの発生を防ぐ。
- 絨毯やぬいぐるみなどの、埃のたまりやすいものは置かない。カーテンもまめにお洗濯できるものにする。
- ペットの飼育をしない。
- 室内には植物の鉢植えなどを置かない。
- 風通しをよくし、カビの発生などを防ぐ。
以上のような点を確実に実施することで、治療の効果も上がります。
このように、一方で日常生活の環境を整えることは最も大切なことですが、お子さんの心の状態が発作を引き起こす原因やきっかけになったり、症状を悪化させることにつながる場合もあります。ですから、環境的な要因を探るとともに、心の健康を妨げる要因がないかを探ることも大切なことです。普段から、
- 親子の信頼関係と安定した生活を築く
- お子さんの自立心が育つよう自分で考えたり選ぶ機会を与えてそれを支える
- お子さんに満足感や達成感を持たせる
- 発作に対する恐怖を取り除く
などに注意して、日常生活を送れると良いですね。
このほか、発作を引き起こす要因としては、運動や発汗、疲労、興奮、不安、怒り、緊張などの心理的条件や、低気圧、雨、季節の変わり目などの気象条件などもあります。いずれにしても、発作を引き起こす要因を探り、回避することは大切なことです。体力をつけ、自立できるお子さんに育てることも、喘息から抜け出せる第一歩です。遊び感覚で楽しめれば、乾布摩擦や冷水を浴びることも、自律神経の機能を正常化させ、気管支の過敏状態を軽減させることになります。また、喘息体操、水泳も効果的といわれています。
気管支喘息は、症状に対する対処療法と、日常生活の環境整備、そして本人の心身ともに健全な成長により、治癒が見られるものです。医師とよく相談の上、長期的、そして総合的に有効な治療方法を立て、家族全員で対応していくことが大切です。