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子どもの食(食育)

食育レポート
(食育シンポジウム)
─食で育もう 子どもたちの未来─


食育レポート(食育シンポジウム)─食で育もう 子どもたちの未来─

パネルディスカッション
「はじめよう!食べるネッサンス」

●「食べる」+「ルネッサンス」=「食べるネッサンス」
  子どもをとりまく食環境に革命を!
  パネルディスカッション「はじめよう!食べるネッサンス」


好本 惠 氏 好本 「子どもと食」は、今日会場にいらっしゃる方々にとってとても大切なテーマだと思います。食べることを大切に思っている方々がたくさんいるにもかかわらず、子どもの食に関する問題は、とても多様化、複雑化しています。例えば、赤ちゃん世代でいえば離乳食のことで頭がいっぱいで、お母さんの大きな負担になり、育児ストレスにつながることもありますし、1人で食べる子、朝食を食べない子、食生活が乱れた子が、年齢を追うごとに増えている。さらに小児肥満や子どもの生活習慣病、思春期になると思春期やせ性なども話題になります。このような中、食べることに興味や関心を持って楽しく、おいしく食べるには、どうしたらいいのか。そして、体と心も健康に育ってほしいという皆さん願いのために私たちは一体何をしたらいいのか。実際に親も子も食べることで、食に関わることで何を学べるのか、今日はご一緒に考えてたいと思います。それでは、まずはパネリストの皆さんに、それぞれの立場からお話をいただきたいと思います。

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●「食」の力で子どもたちの能力を増やしたい

ハグリン・カムカム!  シンポジウムのテーマである「食べる」と「ルネッサンス」が結びついた「食べるネッサンス」という言葉が示すとおり、現代は、子どもを取り巻く食環境に革命を起こさなければならないほどに深刻な問題が存在しています。足立先生をはじめとする食育検討委員は、子どもの「食」に関する問題をさまざまな角度から議論しました。その中から生まれたものの一つが、「楽しく食べる子どもに」とタイトルされたリーフレットです。このリーフレットには、「ハグリン」という名前 のキャラクターが刷り込まれています。「ハグリン」は、子どもと同じ目の高さに立って、一緒に遊び育っていくキャラクターとして考えました。「ハグリン」は子どもに食の気づきを与えるキャラクターですから「ハングリー」つまり「空腹」は重要なキーワードです。加えて「だっこ」という意味の「ハグ」を合わせてネーミングしています。「ハングリー」と「ハグ」から浮かぶイメージは、「食いしん坊」「甘えん坊」ですね。「ハグリン」がほかのキャラクターと大きく違うところは、おなかが透けて胃が見えているところです。この胃は「ストマックン」といいます。「ストマックン」が反応することで、「ハグリン」は自分のおなかの具合を知ることができるのです。例えば「ハグリン」が空腹になると「ストマックン」がラッパのようになって、グーッと言う。おなかが鳴るほどの空腹に気づく。そしてよくかむほどに、おいしさに気づく。皆で食べると、おいしいと気づく。一緒に食べると心まで満腹。自分のできることを増やす楽しみに気づく。食べることが健康な体づくりに役立つことに気づく。
 
NHKの番組「ひとりでできるもん!」を立ち上げたときに使命感を覚えたのは、子どものできることを増やしてあげることでした。当時、マッチで火をつけられない子どもや、鶏の絵などを描かせると4本足になるなど、子どもの体験不足からくるゆがみが既に始まっていたのです。私は番組を通して、「食」の力で子どもたちのできることを増やそうと努めてきました。包丁は危ないから使ってはいけないのではなく、どのように子どもに与えたら安全に使えるのか、それを考えるのが大人の役目だと感じました。「食」に対する子どもの気づきを大切にして、大人がそれを支援していく。子どものできることを増やしていく創造的な活動、そこには大人と子どもが共感できる喜びがあるのではないかと思います。1人でも多くの子どもたちが「ハグリン」と共に、「食」を通して生きる力を身につけて、その素晴らしさを見つけ出してもらえたらいいなと思っています。

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●楽しく食べることにはこだわるだけの理由がある

 足立 星先生が「ハグリン」に託したいろいろなメッセージを一つの言葉で表現すると何だろうということは、厚生労働省の「食を通じた子どもの健全育成(-いわゆる「食育」の視点から-)のあり方に関する検討会」でじっくり話し合われました。そして「楽しく食べる」ということが、全体を代表するキーワードになったのです。そこで、なぜ楽しく食べることにこだわっているのかについて、問題提起をしたいと思います。食事が楽しいのは、健康や生活などを含めて、生き生きすることにつながるということは、全国約5400人の乳幼児とその家族の協力を得て実施した調査の結果から見ても確かであるということのご紹介です。  
足立 己幸 氏  まず、保育所のゼロ歳児クラスから5歳児のクラス別に、「あなたのお子さんは食事が楽しみのようですか」という質問をしました。「食事がとても楽しみのようだ」と答えたのは、1歳児の場合65.8%で、とても高い割合です。どの年齢でも大体55%前後で、いま日本中の乳幼児の子どもの6割余りは、楽しそうだと思って良いということです。では、食事が楽しいということが、どんなこととつながっているのでしょう。「食事が楽しみ」と答えた群と、そうでない群、二つの群を比較した結果で見てみましょう。食べる行動について、例えば、「夕食の主食、主菜、副菜がそろっている」など、望ましいと言われている食生活を実際に営んでいる子どもの比率が、「食事が楽しみ」と答えた群の方が高くなっています。その他、よくかんで食べる、食事の時刻がほとんど決まっている、夕食を家族全員で食べる、「いただきます」「ごちそうさま」を言っている、すべての項目で、楽しそうに食べている群の子どもの方が多いという結果です。実は、この分析をしたとき、こんなにきれいに揃うと思わなかったのでびっくりしました。 たかが楽しそうかどうかということですが、結果として、食べる行動がみんな良好な方につながっているのです。
 次に情報交換について。食についての情報を自分が得たり、逆に自分が発したりしながら、子どもたちは食生活を営む力をしっかり身につけ、成長していきます。そうしたことが、うまくできているかどうかを比較しました。食事の感想を言う、食事の催促をする、食べ物についての会話をよくするなど、全て、「食事が楽しみ」と答えた群の方が突出し、上手にできている子の比率が高くなっています。これは、小学生についても同じことが言え、食事づくりを自発的にするときが、子どもたちが楽しく生き生きするときなのです。特に、一部分だけ言われてやるときではなくて、任せられるときですね。「お願い、忙しいから朝食はつくってね」と言われると、初めはちょっと嫌がるかもしれませんが、子どもたちは「僕の思っているとおりやっていいの」ととても生き生きして、ものすごく楽しそうなのです。さらに、自分自身がサービスする側に回ったときは、いつもとは別人のようにすごく楽しそうです。そして、食べていただく方に「おいしい、おいしい?」といちいち聞いたりして、とっても積極的になります。このような、いろいろな調査の結果や観察の結果を重ね合わせ、食から、子どもたちが本当に生き生き伸び伸びと育つようにするにはどうしたらいいだろうと考えていく中で、子ども自身が判る言葉で表現しようということが検討された結果、楽しく食べる子どもに育ってほしいな、ということを合い言葉に「楽しく食べる子どもに」は生まれました。

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