トップ > 子どもの食(食育) > 食育レポート(食育シンポジウム)─食で育もう 子どもたちの未来─ 心地よい食卓は万国共通(1)

子どもの食(食育)

食育レポート
(食育シンポジウム)
─食で育もう 子どもたちの未来─


食育レポート(食育シンポジウム)─食で育もう 子どもたちの未来─

特別講演
「心地よい食卓は万国共通
〜カーリーおばさんが提案する楽しい食卓」
カーリー西條氏

●3〜5歳
  ――それは、マナーを覚えるのに最適な時期


 日本は、50年の間に子どもがどんどん家の中の親分になりました。日本のお母さんとお父さんは最近子どもをあまり叱らないね。おばあちゃまおじいちゃまも叱ってくれない。お母さん、お父さんが「だめ」って言っても、おじいちゃんとおばあちゃんが、「いいじゃないのよ、よしよし。まだ小っちゃいんだから」って言うのよ。 子どもは、3歳、4歳、5歳のときは人間の中の一番覚える時期なのよ。その後の何十年どんなに覚えても、3〜5歳に覚えるものに比べると少ないんです。この時期に何を覚えるか。マナーを覚えましょう。

▲Page Topへ

●ダイニングテーブルで学ぶこと
  ――会話のマナー、そして我慢するということ


 うちの場合、父のフォークが持ち上がると、私たちは「ああ、食べられる」と思いました。父がフォークに手を出さないと私たちは待っていました。お父さんがお酒を1杯ゆっくり飲みたいとき、子どもは食べ終わったらテレビが見たい。特に食事のとき、テレビはある意味厄介者です。せめて食事のときは、お父さんとかお母さん、大人と子どもの会話の時間です。
 食事はみんなを見回して、「いただきます」で始めます。食べている間、誰か話しているときに、自分は邪魔をしない。大人の世界もそうよね。どんなに自分が言いたくても我慢しなくてはね。上の人が話しているときは我慢するのよね。それが、テーブルで覚えることです。たとえば、アメリカではお母さんとお父さんが話しているときに、子どもがいきなり話し始めると、「パードン・ミー?」と言うのよ。それで子どもは「パードン・ミー」を覚えます。私が日本に35年前に来たとき、どんな家に行っても、子どもに同じことをしていました。チビちゃんが何か言おうと思ったら、「ちょっと待ってね。今、大人が話してるの」。いつの間にかそれが日本でなくなった。なぜでしょうか。一つはマスコミの責任です。ホームドラマ、漫画。子どもの漫画を見ると最悪ですね。お母さん、お父さんは見たことがありますか、自分の子どもが見ているテレビアニメを。ひどいものがあります。お母さんに向かって、「何だよ」とか「うるさいな」。それをまだ小さいからと許すお母さんは後で困ります。子どもは1回覚えたものは、中学生になっていきなり「いけません」と言ってももう遅いよ、皆さん。テーブルで覚えさせないと。私が日本人と結婚して一番困ったのは、食事のとき、娘にマナーを教えるのが大変だったこと。私はアメリカの難しい古い家で育ったから、娘にもそうしたい。だけど、日本のパパだから、3歳の娘がテレビを見たがると、パパが、「いいじゃない、テレビ、早めに見せよう」って。うちはパパの椅子がありました。だけど娘がハンバーグを食べたいというと、パパが「まあ、いいか。今日は私もハンバーグ食べよう」と。
 娘が4歳のとき、アメリカの母が家にやってきました。2日目の夜、爆弾を落としちゃった。「わがままに育ったらどうするの、あなたたち。ケイコはうちの大切な孫よ。あなたたちは何をしているの。テレビを見たいから見せる、やりたいからやらせる、買いたいから買う。あの子はどうなるのよ。すべて自分の世界、この世の中が自分を中心に回っていると思う子どもになる」と母は言いました。
 母が言うには、「いつか大きくなったらパーティーに行くのよ。そのときどっちのフォークかわからなかったら――日本の場合、箸の持ち方が判らなかったら――誰かが笑いますよ。あなたの育ちは変よ、と」。今の子どもはお箸の使い方がわからない。私が日本に来て住んでいた家の日本人の老夫婦が私に一番しっかりしてくれたのは、箸の持ち方です。食事のマナーを覚えない人間が大きくなってどうして大人の世界でうまくいくでしょうか。中途半端な箸の持ち方、フォークの選び方がわからない人間は中途半端な仕事しかできないね。食事のとき、こうやってクチャクチャ食べているおじさんは中途半端な仕事だよ。私の経験しか言っていませんよ、皆さん。女の人がいすに座って、食事の始まる前に人が物を持ってきたときに、一言、「ありがとう」と言葉を出さなくても頭がちょっと下がるだけでも美しい。マナー一つで判る、育ちがいいと。


▲Page Topへ

●外国人から見ても悲しい、今の日本人のマナー

 育ちの良し悪しとは何のことかわかりますか。育ちが良いのはお金の問題じゃないですよ、皆さん。食べ物の食べ方を知らないお金持ちのお嬢様、お坊ちゃまはいくらでもいます。女の人がやってきてもドアを開けない。妊娠で大きなお腹の女の人が地下鉄に乗ると、この国は最悪です。誰が椅子を譲ってくれますか。日本人は35年前もっとマナーが良かったのに、信じられないよ。今の日本は裕福ですから、当然もっとマナーが良くて優しいはずでしょう。そうじゃないね。この35年の間、日本人は優しさがどんどん少なくなって、「ありがとう」という言葉を聞かなくなった。人にぶつかって「すみません」という言葉もなくなった。
 きつい言葉ですけど、外人だから言えるの。日本人から日本人になかなか言えないよね。アメリカにアメリカ人の先生が来ても同様で、言いづらい。自分の顔に向かって話すんだもの、難しいのよ。
▲Page Topへ

BackNext