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子どもの食(食育)

食からはじまる健やかガイド







食からはじまる健やかガイド



3.食を通じた子どもの健全育成からみた
発育・発達過程に関わる特徴


1)心と身体の健康

 子どもの発育・発達過程において、心と身体の健康な状態を確保することは基本です。

 乳児期には、身体発育や視覚、聴覚などの感覚機能の発達が著しく、脳・神経系の急速な発達がみられます。これらの発達は、周りの大人とのあたたかく豊かな相互応答的な関係のなかで順調に促され、そのなかで安心感や基本的信頼感を育んでいきます。
 生命を維持し、生活の安定を図るためには、一人ひとりの子どもの生活のリズムを重視して、食欲などの生理的欲求を満たすことが重要になります。また、離乳完了期頃には、午後の睡眠が1回程度となり、睡眠、食事、遊びなど活動にメリハリが出てきます。この時期に、十分に遊び、1日3回の食事と間食(2回程度)を規則的にする環境を整えることで、おなかがすくリズムを経験することができ、それを繰り返していくことで生活リズムが形成されていきます。


 乳児期から幼児期にかけては、さまざまな食べ物を味わうことによって味覚や、咀嚼機能が発達します。また、歩き始め、言葉を話すようになり、周囲の事物に対する好奇心が強くなっていきます。

 思春期には、身長成長速度が最大となり、生殖機能の発達もみられ、精神的な不安や動揺が起こりやすい時期です。特に、身長成長速度が最大となる年齢について、ここ40年の推移をみてみると、男女ともに若年齢化の傾向にあり、成長促進現象発来年齢(思春期の開始年齢)は男子で9.89歳、女子で8.23歳となっています(下記(注)参照)。学童期の後半は思春期に該当することになります。

 特に、心の健康のためには、安心感や基本的信頼感のもとに、できることを増やし、達成感や満足感を味わいながら、自分への自信を高めていくことが重要となります。

(注)最大身長成長速度を示す年齢を指標にした
戦後の思春期若年化
(注)最大身長成長速度を示す年齢を指標にした戦後の思春期若年化
資料:村田光範,伊藤けい子「学齢期小児の適正体格について」
Auxology(成長学),9:90-91 (2003)



2)人との関わり

 子どもの発達は、子どもと環境との相互作用を通して進み、環境のなかでも最も重要なのが、「人との関わり」です。
 人との関わりによって、安心感や信頼感が育まれ、それによって関係性が拡大し、深化していきます。親子、兄弟姉妹といった家族関係から、信頼できる大人を仲立ちとして少しずつ仲間関係が広がっていきます。学童期以降は、仲間意識がだんだん強くなり、親しい友人が重要な存在になっていきます。さらに人との関わりは、社会との関わりへと発展していきます。



3)食のスキル

 「食のスキル」は、食を営むのに必要な能力のことです。それは食べ方や食事づくりの技術だけではなく、食に関する情報への対処のしかた、自分にあった適切な食べ物の選択、一緒に食べる人への気遣いなど、食事全体を構想し、実践できる力のことです。

 授乳期には哺乳によって必要な栄養量を確保し、離乳期には、離乳食を通して舌や歯茎で食べるなど咀嚼機能の発達を促しながら、固形食へと移行していきます。また、手づかみで食べることによって、手指と口の動きの協調運動を獲得して、スプーンやフォーク、箸など食具を使って食べることへと進んでいきます。周りの大人の食べ方も見て、模倣していきます。

 授乳期には、空腹感を“泣く”ことで表出し、おなかいっぱい飲んで空腹感を満たします。これが食欲を育む原点となります。離乳期や幼児期においても、用意された食事の中から、自分で食べる量を確認し調節していくことで、空腹感を満たす量やその心地よさを体感していきます。

 学童期以降は、さまざまな学習を通して、栄養バランスや食材から調理、食卓までのプロセスなど食に関する幅広い知識を習得し、理解を深めていきます。自分の周りに数多く存在する食べ物や食に関する情報から、自分にふさわしいものを自分で選んで生活していくことが必要になってきます。


4)食の文化と環境

 食べ物は、自然の中で生育した生物を収穫し、より食べやすく、おいしく、扱いやすく、保存しやすいように加工して流通され、調理され、食事として整えられ、食べられています。「自然・地域」、「生物」、「食べ物」、「人間」、これらの広く深い関わりが、「食の文化と環境」です。

 咀嚼機能や手指の運動機能が発達し大人の介助がなくても一人で食べられるようになると、食事にあった食べ方や食具の使い方を身につけながら、人と気持ちよく食事をするためのマナーを獲得していきます。

 また、食べ物が自然の中で生育してきたものであることを知り、食べ物がどこで作られ、どのように加工され、店頭に並び、食卓にのぼるのかということにも関心をもち、理解していきます。そうして、生産物や食文化への関心も、自分が生活している身近な地域から、他の地域や外国へと広がっていきます。
 生活や行動の範囲が拡大し、そこで出会う食べ物や食に関する情報も広がっていくとともに、関心のある食べ物や情報を自ら収集し、利用したり、それを誰かに伝えたりと、その関わりも積極化していきます。


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