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子育て支援の事例・
活動

保育所のリスクマネジメント実施事例集

保育所のリスクマネジメント実施事例集

リスクマネジメント実施事例集
 子どもが被害者になる痛ましい事件が後を絶ちません。中には教育施設への不審者立ち入りによって引き起こされた事件もあります。大和市では、保育園におけるリスクマネジメント(安全管理)のマニュアル作りを行ってきました。また、大和市は地域の自主防犯活動の支援や推進事業を積極的に展開してきた結果、平成15年をピークに犯罪件数も減少してきています。
大和市立若葉保育園(神奈川県大和市)
周知によるリスクマネジメントの徹底とともに、
開かれた保育園として多くの人々との交流を図る
概要
大和市立若葉保育園(神奈川県大和市)
所在地 神奈川県大和市鶴間1-25-3
電話番号 046-261-3603
開園時間 7:00〜19:00(土曜日は17:30まで)
園児数 142名(平成18年2月現在)
職員体制 29名(その他にパート保育士とパート調理師計11名)


事業実施のきっかけ
園庭で活発に遊ぶ子どもたち。 若葉保育園は、昭和29年に大和市最初の保育園として開園しました。近くには市役所や保健福祉センターがあり、閑静な住宅地の中に位置しています。 昨今、大阪教育大学付属池田小学校における児童殺傷事件や誘拐、性的虐待などにより子どもが犠牲になる事件が相次いでいます。大和市では保護者が安心して子どもを預けられるように、公立7園の保育園における園長会で、リスクマネジメントマニュアル作りを行ってきました。

取り組み内容
玄関。来園者は受け付け名簿に記載しバッチ着用。 若葉保育園ではリスクマネジメントのマニュアルを作成し、さまざまな状況を想定した安全管理を検討してきました。マニュアルの項目は、
【1】不審者対応
【2】事故・けがの対応
【3】園外保育(散歩時など)の対応
【4】乳幼児突然死の対応
【5】応急手当の対応
【6】時間外・延長保育の安全管理
【7】施設内の安全管理(固定遊具等の点検含む)
【8】光化学スモッグ対応
【9】薬品等の取り扱い(薬の飲ませ方等)
【10】食物アレルギー除去食

と多岐にわたっています。いくつかの取り組みについて以下に紹介します。
事務所内器具。警備会社への通報もこれで行われます。 警備会社に直接つながる非常用ペンダント(パニックボタン)。
事務所内器具。警備会社への通報もこれで行われます。   警備会社に直接つながる非常用ペンダント(パニックボタン)。

〈不審者対応〉
 来園者の管理を図るとともに、保育士が手薄になる時間帯には施錠を徹底し、不審者が侵入したときには警備会社に連絡できる非常用ペンダントを保育士は身に付ける。また、不審者侵入時と退去時の暗号も決め、いたずらに不審者を刺激せずに他の職員に知らせ、速やかな対応をとれるようにする。
訓練で不審者(保育士)を撃退する男性職員。 訓練で不審者を演じた保育士を紹介。子どもに不安が残らないようにしています。
訓練で不審者(保育士)を撃退する男性職員。   訓練で不審者を演じた保育士。子どもに不安が残らないようにしています。

〈子どもへの暴力防止〉
連れ去り防止のためのロールプレイング。  3〜5歳の幼児に対し、知らない人に声をかけられたときには「いや!」と主張し、近くの民家や店にかけこむ(誘拐対応)、知っている人でも「かわいいね、服を脱いで写真をとらせて」などと言われたときには、「いや!」と拒否して、大人(保護者・職員)にその事実を話す(性的虐待対応)などについて、ロールプレイングを通して身につける。

〈避難訓練〉
 月に1回の避難訓練はさまざまな状況を想定し、夏のプール遊びの際(水着のときの身の守り方)や散歩の際に災害が起こった場合の避難訓練も行っている。

〈乳児突然死への対応〉
 0歳児は5分ごと、1歳児は10分ごとのブレスチェックを行い、4〜6カ月児については呼吸モニター付き寝台を利用している。
災害時の避難訓練(保護者への引渡し)。 乳児突然死防止のためのモニター付き寝台。
災害時の避難訓練(保護者への引渡し)。   乳児突然死防止のためのモニター付き寝台。


特徴
 リスクマネジメントの徹底を図る一方、人の出入りの多い「開かれた保育園」として地域交流が盛んです。(1)地域育児センターとして機能していることもあり地域の親子の利用、(2)中高生の保育体験の受け入れ、(3)地域のボランティアの受け入れ、(4)保護者の個人面談に組み入れられた保育参加、(5)他機関(行政・自治体・他無認可保育園その他)との連携、などによりさまざまな人々が園を訪れています。
  これは、リスクマネジメント対策が、人を締め出すものであってはならないという考えからです。保護者や行政、地域との連携が必要なことはもちろん、感性の豊かな時期にいろいろな人と接することで人の優しさや思いやりを学ぶ機会を園児に提供したいと考えています。また、多くの目が園に向けられることが、結果としてリスクマネジメントにも役立つと考えています。

園長先生から
食物アレルギーのある子には、綿密にチェック表を作成した上、一人ひとりに応じた材料で除去食を作ります。 「不審者対策や暴力防止対策で、怖い人の存在も教えることも必要ですが、“中には怖い人もいるかもしれないけれども、人間はすばらしいものなんだよ”と、園児たちには伝えたいですね。リスクマネジメントで気をつけているのは、周知ということです。いくらマニュアルが完備されていても、実施する職員が知らないことがあっては、何にもなりません。保護者・近隣の方からの苦情やクラスでの「ヒヤリ・ハット」事例などは、書面に残して対応策を示すとともに、全員で情報を共有することにしています。職員が皆熱心で、それぞれの役割を認識しつつ、責任を持って仕事をしていることが私の誇りです。
高沢 美智子園長  急病対応にしても、早い時期に発熱に気づき、その後、けいれんを起こし、保護者・主治医への連絡、救急車の要請と適切な対応がとれたことで大事には至らなかった1歳児の例がありました。この場合は、登園時の体温は平熱だったので、ていねいに見ていなければ気づかなかったと思います。私たちは命を預かっているのであって、保護者に安全にお返ししなければいけないという思いで、リスクマネジメントに取り組んできましたし、今後も取り組んでいくつもりです。当たり前のことと思っていますが、私たちの取り組みが他の保育園などの参考になれば幸いですね」(高沢 美智子先生談)

保護者の声
 「5カ月から子どもを預けています。小さい子どもなので最初は心配でしたが、本当によくみてくださるので、親や夫よりも保育園に預けているほうが安心できるくらいです」
  「怖がりの子どもなので、事件のニュースなどを聞き、家庭の会話の中で“怖いおじさんに会ったらどうしよう”などと不安がることがありました。園でのロールプレイングでそんな時の対応を教わることで、不安がやわらいだようです」