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子育て支援の事例・活動

保育所の地域への
多様な展開事例集

保育所の地域への多様な展開事例集

第5章 給食調理業務委託事例

伊藤保育園

保育所施設概要
  保育所名: 品川区立伊藤保育園
  運営主体: 品川区
  設置場所: 東京都品川区
  保育所開設日: 昭和51年8月
  調理業務委託
開始日:
平成14年4月
  保育所定員数: 100名

伊藤保育園外観
伊藤保育園外観

事業のきっかけ・経緯
 職員配置の見直しや事務事業の廃止・統合、委託などによる、職員定数の削減等の行政改革のなかで、平成10年に厚生省の通知により保育所の給食業務が委託できることとなったことを受け、給食調理業務の外部委託の検討を始めた。
 区立保育所においては、平成11年度末に調理職員の定年退職等により欠員が生じる状況が予想され、調理職の定数の見直し、再雇用職員・非常勤職員の活用を検討したうえで、現行の保育所給食の質を落とすことなく経費の削減を図るため、平成12年度から区内5箇所の保育所において調理業務の民間委託を導入した。


委託に至る手続き・調整
  ◇委託事業者との調整
 調理業務を委託する民間企業の選定にあたっては、指名競争とすると低価格になってしまい、結果として給食の質が落ちるという問題が生じる可能性があるため、一般競争入札方式ではなく、プロポーザル方式をとった。
 伊藤保育園で実際に調理業務を代行している業者は、保育所の調理業務を担った実績のあるところではない。品川区は台東区の次に調理業務委託を実施したため、平成11年度のプロポーザルの段階では、保育所給食の実績のある業者はごく少数しかない状況であった。よって、病院や保育所以外の福祉施設での経験も考慮した。また、乳幼児の給食を調理するにあたって配慮しなければならない点を提案に含めてもらい、研修や応援体制の考え方等とあわせて選定の判断材料とした。
 平成16年4月をもって、区内37園全園について給食調理業務を計8社に委託することとなった。同じ業者が複数の保育所で受託しているケースがある。多いところで4園受託しているところもある。

  ◇保護者との調整
 区として調理業務委託について保護者へ書面で周知をした。保護者会の時期と重なったところなど、園によっては園長から口頭で説明をしたところもある。「企業に委託すると、安く上げようとして悪いものを使うのではないか」、「アレルギー食などきめ細かな対応ができないのではないか」といった声も寄せられた。食中毒に関しても、悪いうわさがたったこともあった。その度に、「食材に関しては、従来どおり園長が責任をもって、近隣の商店等から仕入れる」、「従前とおり区職員の栄養士が献立を作成し、アレルギー対応にも十分配慮する」と説明した。
 実際に実施から数年たって、最近では理解も浸透してきているようだ。


委託の内容
 民間委託にあたっての基本的事項は、以下の6点である。
(1)委託内容は調理業務およびそれに付随する業務であること。
(2)献立の作成は従前どおり、区職員の栄養士が作成し、食材購入についても保育所が近隣の商店等から購入すること。
(3) 給食提供については従来どおり、児童の発達段階に応じた食事や食物アレルギー対応その日の体調や宗教によるものなどを十分に配慮したものであること。
(4)日々の安全・衛生面は委託業者の業務である。
(5)保育所内の調理室で調理すること。
(6) 委託先については、調理業務の運営実績や組織形態からみて、当該受託業務を継続的かつ安定的に遂行できる能力を有すると認められるものであること。

 調理業務の委託であるが、クッキング保育のデモンストレーションや、栽培した野菜の調理、食事する子どもの様子を実際に調理員が見たりなど、子どもや保育士と話をしながら進めている。「これはどうやってつくったの?」などといったやりとりも、子ども達と日常的に交わされている。また、16年度より「保育園給食を知ろう」事業がスタートし、食育に関する委託内容が加えられた。
 アレルギー対応等特別食の配慮など、給食の内容については、業務委託をする前と一切変わっていない。


管理運営上の工夫
 委託の本格実施を控えて、代行業者には直前の1ヶ月間、正規の区職員にまじって研修をしてもらった。その期間中に、園と代行業者との意思の疎通が図られた。その後は、月に1回、献立反省会を開いている。日々のやりとりのなかで、コミュニケーションをとっている。
 月々の献立に対しての指示は、月の下旬に実施される区主催の献立説明会で行っている。


調理室 ある日のメニュー
調理室 ある日のメニュー


委託の効果
 従前は、調理に関しては調理員に一任になりやすく、必ずしも園長自身の給食サービスへの関与が十分でなかったが、食材の仕入れから検食までの一連の業務に対して理解が深まることにより、園長の給食への関与が高まった。保育士においても、今まで以上に給食への関心が高まり、職員の意識改革ができたことは重要である。
 保育所給食の調理業務代行に係わる財政的効果としては、平成12年度の新規契約分、平成13年度の新規契約分で、それぞれ約9千万円の人件費の削減が可能となっている。


管理運営上の工夫
 区では、委託業者を選定するにあたってプロポーザル方式を採用しているものの、契約期間は5年が妥当である。それに関連して、代行業者が切り替わった場合、新旧の業者間の引継ぎ業務がスムースにいくかどうか検討課題である。
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