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子育て支援の事例・活動

保育所の地域への
多様な展開事例集

保育所の地域への多様な展開事例集

第1章 既存施設の転用事例

かごまち保育園


保育所施設概要
 保育所名: かごまち保育園
 運営主体: 株式会社ベネッセスタイルケア
 活用場所: 東京都文京区立駕籠町小学校 校舎1階部分
 開設日 : 平成14年8月
 定員数 : 60名

かごまち保育園の門写真 駕籠町小学校の門写真
かごまち保育園の門 駕籠町小学校の門


転用のきっかけ・経緯
  ◇転用の考え方
 文京区の公立保育所は、昭和53年からかごまち保育園が開設されることになるまでは、17園で推移。私立保育所は、平成13年末に1園が廃園になって以来、3園である。
 待機児童数は、平成12年4月には20数名だったが、翌年の平成13年4月に一挙に100名になった。こうした状況を踏まえ、小規模保育園を1園、分園を1園、さらに定員60名のかごまち保育園を開設することになった。定員21名の小規模保育園は、平成15年2月に完成した再開発ビルに設置され、4戸分のスペースを保育園にした。また、定員19名の分園は、緊急一時保育所を改装して設置した。さらに、限りある公有財産を有効に活用して保育所を設置するため、小学校も活用できないか検討した。
  ◇転用候補地の選定
 駕籠町小学校には、駕籠町幼稚園が併設されていたが、幼稚園が廃園になってからは、かつての幼稚園であったスペースは小学校の教育相談室、図書室として使われていた。ある保育園が耐震補強および内装改修を行う際に、工事期間中の仮園舎が必要となり、この教育相談室と図書室を活用することになった。平成13年の7月から平成14年の2月まで、1歳児から5歳児までの園児90数名の保育が行われていた。
 1年限りの仮園舎として使っていたが、待機児童の急増もあって、そこを本格的に保育所として活用していくべきではないかという意見が議会等でも広がっていった。


転用に至る調整・手続き
  ◇学校との調整
 小学校としては、総合的な学習の時間等で活用予定であった図書室や教育相談室の機能を、どこかに移さなければならないという不都合はあったが、仮園舎の際には期間が限られており、他に適切な場所がないのであれば応援しようということで場を提供した。
 仮園舎ではなく、特定の保育園が期限なく入ることになり、否定的な意見が小学校の職員から出たこともある。しかし、待機児童の問題も深刻な状況であり、「保育園の利用者は、学校に入ってくる予備軍」という考え方を校長から示し、職員を説得した。
  ◇児童保護者との調整
 小学生の保護者からは、小学生が遊んでいる場所に園児がいると、園児に怪我をさせてしまう危険性があるのではないか、お互いに気をつかって萎縮して元気に遊べなくなってしまうのではないか、という懸念があった。また、小学校の部外者が多く出入りすることへの警戒感もあった。このような事故防止対策や防犯対策については、ハード面・ソフト面の両面を工夫することによって解決していくことで了承を得た。
  ◇運営主体との調整
 かごまち保育園については、当初から公設民営方式を導入しようという方針であり、平成14年3月に運営事業者に対する説明会を行い、一般競争入札方式ではなく、プロポーザル方式で選考した結果、6月に事業者が決定された。


転用の内容
 当該土地・建物は、財産の移管をせず、福祉部局が教育部局から地方自治法に基づく目的外使用許可を得る形をとっている。
 図書室は2つの教室を活用して機能を移した。教育相談室は、図工室の半分を利用して機能を移した。


施設計画上の工夫
 小学校の児童と保育園の園児とが交錯することがないよう基本的な動線を分離し、保育園専用の門を設けた。門から保育園までの通園路の部分と校庭との間に、取り外しができるネットを設けて、ボールが飛んできたり、児童が走って遊んだりする際の衝突による事故を防いでいる。


 

校庭と通園路間に設置された取り外し可能なネット写真
校庭と通園路間に設置された取り外し可能なネット


運営管理上の工夫
 警備システムは1回線2系統となっており、保育園と学校では別々である。光熱費等については、個別メーターを設置すると経費がかかるため、面積で按分するなど年度の最後に精算することになっている。
 防災訓練は、小学校と保育園で別々に月に1回行っている。今後は、共同で行うことも検討中である。
 学校側の窓口は主に教頭であり、園長と随時話し合いながら進めている。例えば、保育園で発行している園便りを学校に渡したり、学校側の年間行事等も、予め連絡したりしている。書面等でも大まかな取り決めはしているが、必要に応じて臨機応変に協力していくことの方が、現実的かつ重要である。保育園で運動会をする際には小学校の体育館を借りたり、小学生が帰ったあとに校庭を使わせてもらったりするなど、保育園の敷地以外にも保育園側で使用できるよう、学校側では柔軟な体制をとっている。
 保育園側でも、保育の様子を、PTAなど学校関係者にも公開して、理解が得られるように工夫している。


転用の効果
 園児と小学生とで交流の機会が生まれればよいと期待してはいるが、強制的に場を設けるのではなく、無理なく自然発生的な交流が期待されている。
 開園してから間もないものの、徐々にではあるが児童にもよい影響がみられる。小学生にとって日常生活では0歳児など小さい赤ちゃんを見る機会がないので、乳母車の赤ちゃんに興味津々の様子である。保育園に隣接したプールで学習のある際には、上から保育園の様子を覗き込んでいる小学生の姿がよく見られる。
 将来的には、家庭科教育や性教育など学校の教育課程のなかにも、保育園の機能が役立つときがくると考えられる。
 学校で作品展覧会が催されたときには園児が招待された。職員がとても温かく園児を迎える姿を児童達も何気なく見ながら、園児との関わり方を学んでいるようである。
配置図・平面図 配置図

転用前

転用後
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